2010年12月24日-4
11年ぶりに前年水準を下回った日本の労働生産性

 日本生産性本部がまとめた「労働生産性の国際比較・2010年版」によると、2009年の日本の労働生産性(就業者1人あたり名目付加価値)は、6万5896ドル(755万円/購買力平価換算)でOECD加盟33ヵ国中第22位、主要先進7ヵ国では16年連続の最下位となった。購買力平価とは、各国の物価水準の差を調整して購買力が等しくなるように、ある組合せの商品を一定量購入するのに必要な通貨の比率を表したもの。

 OECD加盟諸国の労働生産性は、第1位が「ルクセンブルク」の11万8230ドル(1355万円)で、1970年以降40年連続のトップ、第2位は「ノルウェー」の10万6217ドル(1217万円)、第3位は「アメリカ」の9万8773ドル(1132万円)。2009年の日本の労働生産性は、デフレに伴う購買力平価の切上げや、就業者数の減少が上昇要因となったが、名目ベースのGDPの落込みをカバーできず、1998年以来11年ぶりに前年水準を割り込んだ。

 実質労働生産性上昇率は、金融危機が発生した2007年以降(2007~09年)、日本が年率平均-2.22%と、主要先進7ヵ国中第5位、OECD加盟33ヵ国中第24位。金融危機が発生するまでの時期(2001~07年平均)をみると、日本は1.79%(OECD加盟33ヵ国中第13位)と、米国(1.52%)をわずかながら上回るが、金融危機を境に大きく落ち込んだ。実質労働生産性上昇率の低下幅(-4.01ポイント)は、主要先進7ヵ国で最大。

 日本の製造業の労働生産性水準(2005~07年平均/購買力平価換算)は、米国の70.6%。OECD加盟国でデータが得られた22ヵ国中第6位、主要先進7ヵ国でみると、米国に次ぐ第2位だった。トップはアイルランド(1.091)で、米国より1割近く生産性が高い。日本は、国全体でみるとOECD加盟33ヵ国中第22位と中位レベルにとどまるが、製造業に限れば必ずしも当てはまらないことになる。

 一方、日本のサービス産業の労働生産性水準は、卸小売で米国の42.4%(OECD主要21ヵ国中第17位/2005~07年平均)、飲食宿泊で同37.8%(同20ヵ国中第15位)と、米国の4割程度にとどまっている。サービス産業の労働生産性は、国際的にみて高い水準とはいえない状況にあり、サービス産業分野の生産性の立ち遅れが、日本全体の労働生産性水準がOECD加盟諸国で中位にとどまる状況に影響を及ぼしているとみられている。

 「労働生産性の国際比較」の詳細は↓
 http://activity.jpc-net.jp/detail/01.data/activity001013/attached.pdf

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