2010年12月20日-2
約6割の中小企業が円高により「悪い影響がある」

 中小企業基盤整備機構と全国中小企業団体中央会は、現在の日本経済の抱える「円高」と「デフレ」に関し、中小製造業にどれだけの影響が現れているかについて、都道府県中小企業団体中央会の協力を得て緊急調査を行った(製造業600社、うち有効回答数563社)。2010年の一年を振り返っての業況を、約半数の企業(50.6%)が「悪かった」と回答。「良好であった」と回答した企業は1割強(13.5%)に過ぎなかった。

 現在の経営上の問題点は(複数回答)、全体では「景気低迷による需要減」と回答した企業が79.2%、「売上単価の上昇難」が52.6%、「原材料の高騰」が36.2%、「人件費・固定費の負担増」が32.5%、「円高の影響」が29.8%と続いている。輸出品がある企業についてみると、「景気低迷による需要減」をあげる企業は、76.9%と全体と大きくは変わらないが、次いで「円高の影響」が49.0%と高くなっている。

 円高の進行(調査時点約82円=1ドル)への影響について、45.8%の企業が悪い影響がある(「極めて悪い影響がある」+「悪い影響がある」)と回答。「良い影響と悪い影響がある」と回答した企業14.4%も「悪い影響を受けている」ととらえると、何らかの悪い影響がある企業は60.2%になる。一方、良い影響がある(「極めて良い影響がある」+「良い影響がある」)と回答した企業は6.1%と1割にも満たない。

 円高が経営に悪影響を与えているとする企業の悪影響の内容(複数回答)は、「取引先の輸出数量減少の影響で受注量が減少した」が47.2%、「円高を理由に発注元からコストダウン要請が強まった」が46.9%、「取引先の生産品目の海外シフトにより受注量が減少した」が37.5%、「低価格輸入品の増加で自社製品の値下げを余儀なくされた」が21.5%と、円高は取引先を通じて中小企業に大きく影響していることがうかがえる。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www2.chuokai.or.jp/hotinfo/endaka.pdf

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