2010年12月15日-2
10年リスケ後倒産93件、前年同期比66%の大幅増

 2009年12月に施行された中小企業金融円滑化法に基づく中小企業向け融資返済条件の緩和実績は、9月末時点で約98万件にのぼり、拒否率も2%台と低水準にとどまった。これらの金融支援策が功を奏して、企業倒産は2009年9月以降15ヵ月連続で前年を下回っている。企業にとって、返済猶予(リスケ)によって資金繰りが一息ついたことは確かだが、それによって全ての問題が解決するわけではない。

 リスケ期間中に本業の業績をどれだけ改善できるかが重要であり、“返済猶予後”に業績不振から倒産に至るケースも散発している。帝国データバンクが今年6月の第1回調査に続き実施した第2回「返済猶予(リスケ)後倒産の動向調査」結果によると、返済猶予後に倒産に至ったケースは、同法が施行された2009年1月から2010年11月までで151件判明したことが分かった。

 月別件数をみると、一ケタ台での推移が続いていたが、2010年4月には17件と多発し、その後も5月、8月、9月、11月に二ケタ発生するなど、増加傾向を強めている。2010年1月から11月までの累計は93件で、前年同期(56件)と比べ66.1%の大幅増加となった。また、金融円滑化法によるリスケを受けた後に倒産に至ったケースは、2010年7月以降散発し、11月までに12件判明した。

 2010年の返済猶予後倒産93件について業種別にみると、「製造業」が32件でトップ、「建設業」(24件)、「卸売業」(15件)が続いた。倒産原因別では、販売不振などの「不況型倒産」が74件と大半を占めた。負債規模別では、負債「1億円以上5億円未満」が40件で最多。負債100億円以上が4件発生した一方、負債5000万円未満は3件にとどまった。地域別では、「関東」が32件でトップ、「近畿」(28件)、「北海道」(7件)が続いた。

 11月末時点で金融円滑化法によるリスケを受けた後倒産に至った企業は12件、資金ショートに陥った企業を合わせると30件以上が判明しており、今後返済が再開されるタイミングで倒産が続発する可能性は高い。緩和実績は約98万件にのぼっており、リスケによって延命している「倒産予備軍」も相当数存在することが予想される。今後リスケ倒産が増加してくれば、全体の倒産件数が急増する可能性も否定できないとみられている。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p101202.pdf

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