2010年12月09日-4
11年の景気見通し、「回復」を見込む企業は1割弱

 帝国データバンクが実施した「2011年の景気見通しに対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万948社)によると、2011年の景気見通しは、「悪化」局面を見込む企業が2010年の景気動向から3.7ポイント低い33.9%となった。また、2011年の景気を「踊り場」局面と予想する企業は同11.0ポイント低い34.5%、「回復」局面は同5.3ポイント増加ながら9.2%と1割弱にとどまった。

 規模別にみると、「回復」の割合は、「大企業」(9.4%)と「中小企業」(9.2%)では大きな差がみられない一方、「悪化」の割合は、「大企業」(29.4%)よりも「中小企業」(35.3%)が5.9ポイント高かった。特に「小規模企業」は40.4%と4割を超えており、規模の小さい企業ほど2011年も厳しい経済情勢が続くとみている。「悪化」の割合を地域別にみると、「北海道」(41.0%)と「北関東」(40.0%)で4割台となった。

 2011年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料(3つまで回答)は、「為替(円高)」が53.3%と半数を超えて、突出して多かった。次に、「雇用(悪化)」が32.9%で続く。2009年11月の前回調査で2010年景気の懸念材料として42.5%の企業が挙げていた「物価下落(デフレ)」は26.4%へと16.1ポイント減少、「所得(減少)」も36.6%から22.8%に減少しており、デフレや所得に対する懸念は1年前の時点より弱まっている。

 今後の景気回復に必要な政策(複数回答)については、「法人向け減税」が44.4%で最多となった。4割超の企業は法人向けの減税が今後の景気回復に必要と考えており、前回調査の31.2%(7位)から大きく上昇した。また、「雇用対策」(41.9%)や「所得の増加」(28.5%)、「物価(デフレ)対策」(②7.2%)などは上位に挙がったものの、前回調査からは減少。一方、「規制緩和」(21.8%)は前回調査から5.5ポイント増加した。

 帝国データバンクでは、「企業は、雇用改善や所得増加などに対して、これまでの直接的に対応する個別政策から、減税による企業競争力の強化を通じて総合的に解決を求める姿勢に変化した可能性がある」とみている。

 同意識調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w1011.pdf

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