2010年11月22日-4
IFRS適用に向けて7割弱の企業が「すでに準備」

 東京証券取引所が東証全上場企業2283社を対象に9~10月にかけて実施した「IFRS(国際財務報告基準)に関する調査」結果(有効回答数1572社)によると、IFRS適用についての準備状況は、67.4%と7割弱の企業が「自社は、2015年~2016年3月期ないしそれ以降に強制適用となると予想しているため、それに向けた準備をすでに行っている」(A)と回答した。

 次いで、20.4%が「自社は、2015年~2016年3月期ないしそれ以降に強制適用となると予想しているが、それに向けた準備は未だ開始していない」(B)、6.2%が「任意適用に向けた準備を現在行っている」(C)、5.8%が「適用の時期・範囲が決定するまでは、準備する予定がない」(D)と回答。(C)と回答した企業の現時点で想定しているIFRSの適用予定時期については、「2015年3月期~2016年2月期」が53.6%で最多だった。

 また、上記で(A)または(C)と回答した企業の現在の準備段階では、60.0%が「IFRSの知識を得るため、経理・財務部門を中心に知識収集」、25.2%が「IFRS導入の影響を把握するために、簡易な影響度分析」、13.9%が「個々のIFRS基準書ごとの具体的対応の検討を開始」と回答。「IFRSへの移行日の貸借対照表」(0.5%)や「前期のIFRSベースの財務諸表」(0.4%)の暫定的な作成は1%に満たない。

 仮に将来IFRSが適用されなかった場合の不安(複数回答)については、「わが国資本市場の魅力が低下し、日本に投資資金が集まらなくなる」が37.3%でもっとも多く、次いで「IASBへの交渉力が落ちて、わが国実態が反映されないIFRSとのコンバージェンスを薦めることになる」(21.0%)、「国際企業にとって、海外子会社を含んだグローバルに統一的な管理・処理が行えない」(19.7%)などが続いた。

 反対に、仮に将来IFRSが適用された場合の不安(複数回答)では、「プリンシプル・ベースであり、解釈指針が十分ではないので、具体的な会計処理の手続きの設定が難しい」が76.0%で最多、次いで「IFRSに精通した人材の不足」が66.5%、「IASBとFASBのMoUの動向など、今後の会計基準の変更が確定せず、準備を進めにくい」が56.9%、「単体の基準設定次第で、税の不利益が生じないか不安」が35.1%などで続く。

 同調査結果の概要は↓
 http://www.tse.or.jp/rules/ifrs/b7gje6000000zb3y-att/b7gje600000128jz.pdf

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