2010年11月18日-1
一段と厳しさを増す教育費負担~日本公庫

 日本政策金融公庫が、国の教育ローンを今年2月~3月に利用した勤労者世帯を対象に実施した「教育費負担の実態調査」結果(有効回答数5409世帯)によると、世帯の年収に対する在学費用(小学校以上に在学中の子ども全員にかかる費用の合計)の割合は過去10年間で最高の平均37.6%となり、教育費負担が一段と厳しさを増していることが分かった。分布をみると、「40%以上」が32.5%ともっとも多くなっている。

 この割合は年収が低い世帯ほど高く、年収が「200万円以上400万円未満」の世帯では昨年度比8.2ポイント増の56.5%と、年収の半分以上を占めている。在学費用は、「200万円以上400万円未満」では166.7万円で昨年度と比べ18.5万円も増加しているのに対し、「400万円以上」では0.7万円減少している階層もあるほか、最大11万円の増加にとどまっており、世帯年収400万円未満の世帯を境に教育費の格差が拡大している。

 子ども1人あたりにかかる入学費用は、高校が51.9万円、大学が97.4万円となる一方、在学中の費用は、1年間の合計で、高校が99.5万円、大学が153.0万円となった。入学費用と在学費用を累計すると、子ども1人あたりにかかる費用は、高校3年間で350.4万円となり、大学に入学した場合、入学費用と4年間の在学費用709.4万円が加わり、高校入学から大学卒業までに必要な費用の合計は1059.8万円となる。

 自宅外通学者がいる世帯は、全体の39.6%を占めるが、自宅外通学者が1人いる世帯の仕送り額は年間平均で101.8万円。自宅外通学を始めるための費用(アパートの敷金や家財道具の購入費用など)は、入学者1人あたり平均47.4万円。入学費用と自宅外通学を始めるための費用の合計は、平均140.2万円となった。分布をみると、「100万円未満」が32.5%、「100万円以上150万円未満」が29.6%と続いている。

 教育費の捻出方法(3つまで回答)については、「教育費以外の支出を削っている」が62.4%ともっとも多く、以下、「奨学金を受けている」(53.3%)、「子ども(在学者本人)がアルバイトをしている」(40.3%)と続く。節約している支出(3つまで回答)は、「旅行・レジャー費」(61.3%)、「外食費」(50.8%)、「食費(外食費を除く)」(50.0%)、「衣類の購入費」(43.4%)「保護者の小遣い」(41.1%)の順だった。

 同実態調査結果の詳細は↓
 http://www.k.jfc.go.jp/pfcj/pdf/kyouikuhi_chousa_k_h22.pdf

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