2010年11月10日-1
新卒採用が定期的に「ある」企業は3割

 正社員として新卒者の採用が定期的に「ある」とする企業割合が30.8%だったことが、帝国データバンクが10月後半に実施した「新卒採用に対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1163社)で明らかになった。「ある」と回答した企業を規模別にみると、「大企業」が60.7%だったのに対し、「中小企業」は21.6%と2割程度だった。特に「小規模企業」は6.4%にとどまり、新卒者を定期的に採用している企業は非常に少ない。

 新卒者の採用活動の早期化による学業への悪影響や、既卒者の就職難について、社会的損失を指摘する声があるが、これらについての問題意識を尋ねたところ、67.0%と3社に2社が「問題がある」と回答する一方、「問題があるとは思わない」は10.5%と1割程度だった。「問題がある」とする企業を規模別にみると、「大企業」(68.6%)のほうが「中小企業」(66.5%)よりも、問題ありと考えている様子がうかがえる。

 就職活動の早期化と長期化が学業に悪影響を及ぼしているという指摘から、商社の業界団体である日本貿易会は、2013年度入社の新卒から、採用選考の開始時期を遅らせると同時に採用試験自体の実施時期も見直すことを決定した。そこで、採用活動を遅らせることについての賛否を尋ねたところ、「賛成」と回答した企業が55.4%となった。他方、「反対」は6.9%、「分からない」は37.7%だった。

 また、既卒者の就職が非常に困難になっているなか、政府は主要経済団体に対して「卒業後3年以内の既卒者は、企業は新卒として採用活動をするべき」(日本学術会議の提案)との依頼を行った。そこで、その賛否を尋ねたところ、「賛成」と回答した企業は38.4%、「反対」は23.2%、「分からない」は38.4%となった。企業の賛否が分かれているのと同時に、判断しかねている様子がうかがえる。

 同意識調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w1010.pdf

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