2010年11月08日-3
円高時における下請取引の適正化の徹底を通知

 円高に伴い、製品の価格競争力が低下、あるいは売上・利益が減少するなか、企業による一層のコスト削減の取組みが想定される。経済産業省及び中小企業庁は、コスト削減にあたって、親事業者と下請事業者が十分な協議を行い、「“win-win”の取引関係を目指すことが重要」と、下請取引の適正化を推進し、厳しい経済状況に適切に対応していく観点から、望ましい企業間取引や注意すべき下請代金法違反事例等をまとめ公表した。

 まず、ベストプラクティス事例として、「調達方法の見直し、新工法開発、低コスト設計等につき親、下請事業者双方からの提案を通じ原価を低減。成果をシェア」(素形材・熱処理、自動車、産業機械・航空機等)。「下請事業者から原価低減提案を募集し、実現可能性のある提案について、下請事業者側と一緒に内容をブラッシュアップ。採用案は関係図面等を変更し、原価低減効果を両者の貢献度を評価し適切にシェア」(情報通信機器)。

 次に注意したい例として、円高が進むなかで、自社製品の国際的な価格競争力を維持するために、下請事業者に外注している部品について、従来の単価から一律一定率引き下げて、一方的に通常より著しく低い単価を定めた場合は、「買いたたき」に該当するので注意を促している。そのほか、親事業者の禁止行為として、「下請代金の減額」、「支払遅延」、「受領拒否」、「不当な給付内容の変更」などを挙げている。

 この時期、下請代金支払遅延防止法の厳格な運用も展開される。2009年度は親会社3万9557社、下請事業者18万9764社に書面調査を行い、8720社に書面警告を、1052社に立入検査等を、977社に改善指導を行っている。また、全国48ヵ所(本部及び全都道府県)に「下請駆け込み寺」を設置し、相談員や弁護士による無料相談、ADR(裁判外紛争解決手続き)を実施。2009年度は5000件の相談に対応した。

 この件の詳細は↓
 http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf

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