2010年10月28日-3
在アジア・オセアニア日系企業の約6割が収益改善

 JETRO(日本貿易振興機構)はこのほど、「2010年度アジア・オセアニア日系企業活動実態調査」(速報)をまとめた。北東アジア4ヵ国・地域、ASEAN8ヵ国、南西アジア4ヵ国、オセアニア2ヵ国の計18ヵ国・地域に進出する日系企業に対し、現地での活動実態について調査したもの。調査結果(有効回答数486社)によると、約6割の企業の収益が改善するとともに、今後1~2年に事業の拡大を見込む企業も6割を超えた。

 2010年の営業利益を「黒字」とした企業は69.4%と3年ぶりに増加。前年の56.4%から13.0ポイント上昇。「赤字」と「収支均衡」はそれぞれ13.2%、17.5%で、ともに前年から減少。すべての調査対象国・地域で、黒字と回答した企業の割合が増加し、大企業では75.2%が黒字となり、中小企業の58.3%を上回った。営業利益見込み改善の理由は、「現地市場での売上増加」が最大。他方、悪化すると回答した企業は「人件費の上昇」が最大。

 今後1~2年で事業を「拡大」するとした企業は62.0%と、前年度比10.7ポイント上昇。カンボジア、インド、バングラデシュなどの新興国では8割を超える企業が「拡大」の方針。事業拡大の具体的方針は、「新規市場の開拓(営業/販売ネットワーク拡充)」を挙げる企業が59.4%で最多、次いで「追加投資による既存の事業規模拡大」が51.2%となった。「事業の縮小、第3国への移転・撤退」と回答した企業はわずか2.7%だった。

 経営上の問題点は、「従業員の賃金上昇」、「競合相手の台頭(コスト面で競合)」、「調達コストの上昇」と回答した企業がいずれも5割を超えた。「従業員の賃金上昇」を挙げた企業の割合は、ベトナム、中国で約8割にのぼる。財務・金融・為替面では、「現地通貨の対ドル為替レートの変動」を最大の問題とする国・地域が多い。他方、中国、インド、インドネシアなどでは「税務の負担」が最大だった。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.jetro.go.jp/news/releases/20101020915-news/data2010.pdf

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