2010年10月25日-4
09年末までに06年開業企業の10.8%が廃業

 日本政策金融公庫が、2006年に開業した同公庫取引先企業を対象に実施した「新規開業パネル調査」結果によると、開業4年目の年末である2009年末まで存続した企業の割合は86.8%、同時点までに廃業した企業の割合は10.8%だったことが分かった。業種別に廃業した企業の割合をみると、「飲食店・宿泊業」が15.9%ともっとも高く、「製造業」(14.0%)、「卸売業」(13.5%)、「小売業」(13.1%)が続く。

 月商(平均)をみると、2006年末の296.6万円から2008年末には420.4万円に増加した。しかし、2009年末には417.4万円と、2008年末とほぼ同水準にとどまった。主な顧客別に月商(平均)をみると、事業所を主な顧客とする企業では2006年末の507.4万円から2008年末には720.7万円へと増加したものの、2009年末には695.8万円へと減少した。中央値でみても、2009年末の月商(370万円)は2008年末(390万円)に比べて低い。

 一方、個人を主な顧客とする企業について月商をみると、中央値は2007年末以降大きく変わっていないが、平均は2006年末の185.0万円から2009年末には270.0万円へと徐々に増加している。また、採算状況をみると、赤字基調の割合は2006年末の40.9%から2007年末には27.6%へと低下。しかし、2009年末には39.0%と、赤字基調の割合が最低だった2007年末に比べて11.4ポイント増加した。

 主な顧客別にみると、事業所を主な顧客とする企業の赤字基調の割合は、2009年末には45.2%と、最低だった2007年末と比べて19.9ポイント、2008年末と比べて7.4ポイント高い。2009年末の赤字基調の割合は、2006年末(40.4%)も上回っており、全体としてみると、採算状況は開業直後よりも悪化している。一方、個人を主な顧客とする企業では、赤字基調の割合は2009年末には35.6%と、2008年末から7.2ポイント上昇している。

 赤字基調の割合は相対的には低いものの、個人を主な顧客とする企業においても、厳しい景気の影響がうかがえる。

 同パネル調査結果の詳細は↓
 http://www.jfc.go.jp/common/pdf/shinkikaigyou_221018.pdf

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