2010年10月20日-2
金融円滑化法、申込件数約53万件、実行率82.5%

 2009年12月4日、中小企業金融円滑化法が施行された。同法で金融機関は中小企業や住宅ローンの借り手の申込に対し、できる限り条件変更(元本猶予、返済期間延長など)に応じることを求められた。東京商工リサーチが、今年6月末時点で実施した「金融円滑化法に基づく返済猶予の実績調査」結果によると、221金融機関における中小企業の返済猶予の申込件数は53万1200件、金額は16兆6648億1700万円だった。

 このうち、実行件数は43万8267件、実行率は82.5%、金額は14兆1914億700万円、同85.1%と、ともに80%以上だった。一方、謝絶は1万3130件、謝絶率2.4%、金額は4060億4100円、同2.4%で、こちらは件数、金額そろって2%台にとどまった。中小企業の申込件数を地区別にみると、最多は「関東」の21万664件、次いで「中部」の8万9034件、「近畿」の5万5997件など、最小の「北海道」は1万2114件だった。

 申込件数の実行率を地区別にみると、「中部」が85.0%でトップ、次いで「東北」が84.7%、「中国」が84.0%、「北海道」が83.3%など、全地区で80%以上の実行率があった。一方、地区別件数の謝絶率は、「九州」が3.8%、「東北」が3.6%と2地区が3%以上。次いで「近畿」が2.7%、「北陸」が2.6%などと続き、最低の「中部」は1.9%と唯一1%台だった。九州、東北に比べ中部は半分にとどまるなど、地域でのバラツキが目立った。

 金融機関の業態別にみた中小企業の申込件数は、「大手行」が11万851件(構成比20.8%)、「地方銀行」が26万4407件(同49.7%)、「第二地銀」が9万1547件(同17.2%)、「信用金庫」が5万7292件(同10.7%)。実行率は、「大手行」が79.6%、「地方銀行」が83.8%、「第二地銀」が81.0%、「信用金庫」が84.2%と、地方銀行、第二地銀、信用金庫が80%台だったのに対し、大手行は70%台で、業態間で格差が拡大してきている。

 時限立法の「金融円滑化法」は来年3月末の申込期限まで残すところ6ヵ月弱となったが、いくつかの問題点も指摘されてきた。企業側は、申込・実行後、「実現可能な抜本的な事業計画書」を金融機関に提出しているが、景気低迷で計画遂行は厳しく、再度・再々度の計画変更を行っている企業もある。また、金融機関側では、相談・申込に積極的に応じているが、3月以降は次なる政策が見えない以上、今以上の対応は難しいとみられている。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/2010/1205729_1612.html

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