2010年10月18日-3
雇用調整助成金の生産量要件を緩和~厚労省

 厚生労働省はこのほど、急激な円高の影響で生産量の回復が遅れている事業主の雇用維持を支援するため、雇用調整助成金の支給要件を本年12月から1年間に限り緩和すると発表した。今回の要件緩和では、(1)円高の影響により生産量が減少、(2)直近3ヵ月の生産量が3年前の同時期に比べ15%以上減少、(3)直近の決算等の損益が赤字、のいずれにも該当する場合についても、雇用調整助成金の対象とする。

 雇用調整助成金は、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者の雇用を維持するために休業等を行った際に、その費用の一部を助成する制度。2010年8月度雇用調整助成金等休業等実施計画届提出事業所数は、速報値で、6万9013事業所、対象者数は約112万人にのぼる。

 雇用調整助成金の支給要件は、最近3ヵ月の生産量がさらにその直前の3ヵ月または前年同期と比べて原則5%以上減少というものだったが、昨年12月からは、リーマンショック後の生産の回復の遅れを踏まえて、赤字の企業については、上記の要件に加え、最近3ヵ月の生産量が前々年同期と比較して10%以上減少していれば、助成金の対象とされた。中小企業は2010年12月1日、大企業は2010年12月13日までとされていた。

 上記の要件緩和については、本年12月をもって終了するが、今回の急速な円高の進行の影響により、生産の回復が遅れる企業が発生することが見込まれることから、本年12月から1年に限り、さらに生産量要件を緩和することにしたわけだ。あわせて、2010年11月1日以降、不正受給を行った事業主の名称や代表者名、事業所の名称等を公表するなど、不正受給防止対策の強化にも取り組むとしている。

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