2010年10月14日-3
円高倒産、08年以降で累計80件、09年から急増

 2007年半ばのサブプライムローン問題を契機に、1ドル120円前後で推移していた為替レートは円高傾向となり、2008年9月のリーマン・ショックで急速に進みんだ。さらに、今年の9月14日には15年ぶりに82円台を記録。翌日の6年半ぶりとなる日銀の介入により一時的に円安に振れたものの、10月7日現在1ドル82円台と再び円高傾向が強まっており、輸出関連企業を中心に今後の影響が懸念される。

 帝国データバンクがこのほど発表した「円高関連倒産の動向調査」結果によると、円高の影響を受けた倒産は、2008年1月から2010年9月までの累計で80件判明した。リーマン・ショック直後の2008年12月からほぼ毎月発生しており、2009年には35件に急増、前年比で150.0%の大幅増加となった。2010年は9月までで31件判明、前年同期の27件を14.8%上回るなど円高関連倒産が続発した。

 円高関連倒産をタイプ別に分類すると、全80件中、「デリバティブ損失」による倒産が27件(構成比33.8%)と3分の1を占めて最多。急激な円高により、輸入業者などが為替取引に伴う通貨オプションのデリバティブ取引で大幅な損失を計上し、倒産にいたるケースが続発している。「その他の為替差損」(8件)を合わせると、為替差損の影響による倒産は35件、全体の43.8%に達した。

 「受注減少」による倒産は23件。円高を受け、大手メーカーによる減産、生産拠点の海外シフトで国内産業の空洞化が起こり、中小製造業を中心に受注が急減、倒産にいたるケースが相次いだ。「輸出不振」は17件。円高により輸出競争力が弱まり、多くの輸出関連企業が影響を受けている。「観光客減少」も5件判明。円高により中国などアジアからの観光客が減少し、外国旅行者対象の小売業者、サービス業者が苦境に立たされている。

 同動向調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p101002.pdf

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