2010年10月12日-4
10年度上半期倒産、3年ぶりに5千件台にとどまる

 帝国データバンクがこのほど発表した法的整理による全国企業倒産状況(負債1千万円以上)によると、2010年度上半期(4~9月)の倒産件数は5751件で、前年同期を14.3%下回り、上半期としては3年ぶりに5000件台にとどまった。半期ベースでは、2008年度下半期まで5期連続で前期を上回ったが、前年同期からは3期連続で前期を下回った。月別では、すべての月で前年同月を下回ったが、8月以降は減少幅が縮小している。

 一方、2010年度上半期の負債総額は2兆6319億円と、上半期としては2年ぶりに前年同期を上回った。9月の日本振興銀行(負債6805億6300万円、東京)と武富士(同4336億800万円、東京)の2社で1兆1141億7100万円と全体の42.3%を占めた。この2社を除くと半期ベースで最低の1兆5177億2900万円にとどまり、負債総額の縮小傾向が顕著となった。月別でも、2010年2月から8月まで7ヵ月連続で前年同月を下回った。

 負債額別にみると、負債5000万円未満の小規模倒産は2840件で、前年同期比1.7%の減少にとどまったが、製造業(376件、前年同期比13.9%増)では増加が目立つ。一方、負債100億円以上の大型倒産は18件と、前年同期の37件を大幅に下回った。資本金別でみても、資本金1億円以上の倒産が115件と、前年同期の157件を26.8%下回るなど、中堅・大企業の倒産減少が目立った。

 こうしたなか、2010年度上半期の円高関連倒産は21件判明しており、前年同期の7倍に急増した2009年度上半期と同件数となり、高水準で推移した。2008年9月のリーマン・ショック以降の急激な円高による、輸出不振やデリバティブ損失などの為替差損、海外からの観光客減少、大企業の生産シフトの海外移転などが企業経営に影響して、倒産に至るケースが続発している。

 また、返済猶予後に倒産に至ったケースは2010年度上半期に61件判明、前年同期比110.3%の大幅増加で、集計開始の2009年1月からの累計は136件に達した。2009年12月の中小企業金融円滑化法施行を受け倒産件数全体は抑制されているが、返済猶予後倒産は2010年度に入って増加基調を強めている。金融円滑化法に基づく返済猶予後の倒産も8件判明しており、今後、返済再開後のタイミングで関連倒産が急増するおそれがある。

 同全国企業倒産状況の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/tosan/syukei/10dokami.html

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