2010年10月06日-1
高齢化による個人消費の減少の回避策をレポート

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングがこのほど発表した「高齢化の進展と個人消費」と題するレポートでは、消費支出の長期的な動向を勤労者世帯と高齢無職世帯に分けて分析している。レポートによると、30~50歳代の勤労者世帯の消費支出は、2000年ごろをピークとして低下傾向にあり、デフレ経済の進展や少子化による世帯人員の減少といった構造的な要因による影響を除いても、この傾向は変わらないとしている。

 他方、60歳以上の勤労者世帯や高齢無職世帯は、「所得が伸び悩むなかでも消費支出水準を維持しており、これらの世帯の消費支出は他の勤労者世帯と比較すると底堅い」と指摘している。今後、高齢化が進展し、世帯数が減少へと転じていくなかで、消費支出の金額が相対的に大きな世帯の数が減少する一方、相対的に小さな高齢者世帯の数が増加すると予想している。

 このため、消費支出総額は2020年まで年率で0.2~0.3%と緩やかに減少していくと試算。厚生年金支給開始年齢の引上げに合わせた高齢者雇用の機会確保のため、継続雇用制度の導入等が行われており、こうした動きが60~64歳世帯を中心に消費支出の総額を押し上げる可能性はあるが、高齢者世帯の就労促進にも限界があり、高齢者雇用機会の拡大だけでは、消費支出総額の減少トレンドの方向性を大きく変えることは困難とも指摘した。

 しかし、高齢化要因による消費支出総額の減少の程度はそれほど大きくないため、「高齢者世帯の消費を刺激することで、減少を食い止めることは可能」と試算。具体的には65歳以上世帯のうち二人以上世帯で毎年1400円、単身世帯で同1000円程度ずつ消費支出を増やしていけば高齢化要因を打ち消せる。高齢者のニーズを消費支出へと結びつける商品やサービスを供給できるかどうかが消費のパイの縮小を回避する鍵、としている。

 同レポートの全文は↓
 http://www.murc.jp/report_pdf/20100929_155552_0909275.pdf

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