2010年10月04日-1
大手を尻目に夏の出荷量が好調だった“地ビール”

 記録的な猛暑が続いた今年の夏。消費減が続くビール業界では、消費回復の絶好機と期待したが、ビール大手5社が発表した8月のビール類の課税出荷量は、前年同月比0.3%減と8月単月では過去最低となった。こうしたなか、東京商工リサーチの調査では、全国の主な“地ビール”メーカー45社の6月~8月の出荷量は、前年同期を8.1%上回り、苦戦した大手ビールメーカーを尻目に健闘したことが分かった。

 調査結果(有効回答数90社)によると、“地ビール”の売上高のピーク月(複数回答)については、「8月」が55件で最多、次いで「7月」の47件、「6月」と「12月」が各7件と続き、夏場をピークに挙げた企業が多かった。これは、“地ビール”の需要の柱が地元観光施設内での販売で、8月の観光シーズンに出荷量が大きく伸びることにあるようだ。7月は観光客の需要に加え、「中元用ギフト需要」も伸びるとの回答が多かったという。

 6月~8月の出荷量を同期比較できる45社でみると、2010年6月~8月の合計は2005キロリットルで、2009年同期の1855キロリットルに比べ、8.1%増加した。社数別では、2010年は「増加」が24社、「横ばい」が7社、「減少」が14社。また、出荷量の具体的数値を未公表とした45社では、「増加」が19社、「横ばい」が11社、「減少」が9社、「不明」が6社だった。全体でみると、出荷量はメーカーにより二極化がうかがえる。

 今年の記録的な猛暑の出荷量への影響は、90社のうち、最多が「やや影響した」の31社、次いで「影響しなかった」29社、「あまり影響しなかった」18社、「影響した」11社。出荷量増を示す「影響した」は計42社だったのに対し、「影響しなかった」は計47社で、記録的な猛暑は出荷量に影響を及ぼさなかったようだ。これを裏付けるように、「猛暑で観光客が減少し出荷量が落ちた」ところも5社あった。

 このように、観光客への依存度が高い“地ビール”メーカーの半数以上は猛暑の恩恵を受けることがなく、むしろ一部ではマイナスに作用した。猛暑以外で出荷量に与えた影響では、「観光客の増減」が21社、次いで「販路の拡大」9社、「地ビールイベントへの参加」8社、「中元などギフト向け需要の増減」7社、「商品の知名度向上」5社、「新商品の投入」と「輸出販売」各4社、「コンペでの受賞」3社の順だった。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/2010/1205428_1612.html

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