2010年09月30日-4
公共施設の命名権の平均取得年額は約2754万円

 保有する公共施設の命名権(ネーミングライツ)を募り、運営費を捻出する自治体が増えている。帝国データバンクが、2002年から2010年6月末までに公共施設の命名権を取得した企業99社を対象に実施した「命名権取得企業実態調査」結果によると、命名権取得企業99社の平均取得年額は約2754万円となった。2006年までは成約例が少なかったが、2007年は前年比19件増の23件と急増している。

 その後も増加ペースが続いているが、年額は、2007年の約2927万円を境に低下傾向にある。これは、自治体の希望する募集額が高すぎるため、応募する企業が少なかったり皆無だったりする例が相次ぎ、年額を下げることで成約が増えてきたものとみられる。また、プロスポーツが使用するような著名物件だけでなく、比較的狭い地域でしか知られていない物件でも命名権が定着してきた面も指摘されている。

 命名権取得企業99社の平均命名期間は約45.4ヵ月(3年9ヵ月超)となった。短期間化の傾向があるが、企業が長期契約に慎重になっているためとみられる。最高年額は、2005年の日産自動車による「日産スタジアム」等の4億7000万円、次いで2008年のマツダによる「MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島」の3億円、2002年の味の素による「味の素スタジアム」の2億4000万円と続く。

 命名権取得企業99社が命名した施設のうち、「スポーツ施設」が58件で最多、次いで「文化施設」が21件、公有林など「自然系」が9件、道路やトンネル、トイレなど「その他」が11件だった。また、命名権取得企業を業種別にみると、「製造業」が30社で最多。本社や工場などの拠点がある企業が、地元自治体の公共施設の命名権を取得する例が多い。次いで、「卸売業」が14件だが、地域金融機関が取得するケースも散見された。

 同実態調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p100903.pdf

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