2010年09月30日-3
11月から雇用調整助成金の不正受給企業名等を公表

 厚生労働省はこのほど、雇用調整助成金の不正防止対策強化の第3弾として、今年11月1日以降の申請分から不正受給が判明した場合、(1)事業主の名称と代表者氏名、(2)事業所の名称・所在地・概要、(3)不正受給の金額・内容、を公表することを明らかにした。雇用調整助成金は、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者の雇用を維持するために休業等を行った場合、それにかかった費用の一部を助成する制度。

 同省では今年4月以降、雇用調整助成金の適正な支給に向けて、不正受給防止対策の強化に取り組んできた。4月1日からの第1弾では、休業等を実施した労働者に対しての電話ヒアリングの実施や、教育訓練に係る計画届について労働者別に実施予定日を記載することを義務付けるとともに、計画の範囲内で実施日数及び対象者数が減少する場合についても変更届の提出を義務付ける、などの不正防止受給対策を実施した。

 さらに7月1日からは、不正受給防止対策の強化の第2弾として、都道府県労働局において、事業主が自ら実施する事業所内訓練の実施日数が多い事業所や、ある程度業務量があると推察されるにもかかわらず休業の実施日数が多い事業所、休業等を実施する一方で合理的な理由なく雇用する労働者が増加している事業所に係る実地調査を必ず実施する、などの不正防止対策に取り組んできた。

 こうした2回にわたる不正防止受給対策を実施したにもかかわらず、依然として一部で不正な受給がみられる。2010年4月から7月の間に、架空の休業や教育訓練を実施したとして虚偽の申請を行ったことなどにより、54事業所、約10億7617万円を不正として処分し、悪質事案には刑事告発している。こうしたことから、厚労省では今回、11月以降は、不正受給した企業の事業所名や金額等を公表することに踏み切ったわけだ。

 なお、2010年7月度雇用調整助成金等休業等実施計画届提出事業所数は7万2351事業所、対象者数は約121万人(ともに速報値)にのぼる。

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