2010年09月27日-3
09年度米飯市場規模は前年度比3.8%減の2.2兆円

 矢野経済研究所がこのほど発表した「米飯市場に関する調査」結果によると、2009年度の米飯市場規模は、前年度比3.8%減の2兆2633億円と推計した。食生活の洋風化・嗜好の多様化のなかで、日本国内における米の消費量は大きく減少している。また、昨今の景気不況の影響で、日配米飯(弁当、おにぎり、持帰り寿司等)、加工米飯(冷凍米飯、レトルト米飯等)の両カテゴリーにおいて商品単価の下落がみられたという。

 厳しい市場環境のなかで、唯一伸張したのが加工米飯である無菌包装米飯。単身者や高齢者など、家庭炊飯では量が多すぎる個食需要層の利用頻度が高まり、市場を拡大させた。また、本市場規模には含まれないが、「売れすぎ」で一時販売を休止した日清食品の「カップヌードルごはん」のようなレンジ調理型商品は、新たな技術とともに、今後の米飯関連市場において注目される商品の一つとみられている。

 チャネル別の動向をみると、コンビニは、日配米飯市場で最大規模、加工米飯市場で第2位のチャネル別販売構成比を占める。コンビニ各社では、景気悪化で消費者の購買意欲が低下するなか、PB(プライベートブランド)商品の拡充による低価格化戦略の強化や、チルド弁当の導入による廃棄ロスの削減、店内調理方式の導入による「出来立て・作りたて感」を訴求した弁当商品の開発など、様々な工夫を行っている。

 量販店は、加工米飯市場において最大規模のチャネル別販売構成比を占めるが、量販店における惣菜の販売額は近年減少傾向にある。2008年後半からは、景気後退による消費者の買い控えによってこの傾向がますます強まっており、惣菜の販売不振は量販店にとって深刻な問題となっている。昨今の不況による外食離れ・内食化が進むなかで、量販店各社は店内販売から脱却し、家庭や事務所に向けた宅配サービスを強化している。

 持帰り弁当店、持帰り寿司店、持帰り丼店などの専門店は、消費者の消費意欲の減退、また他チャンネル・企業間での競合によって価格圧力が強まるなど、厳しい状況にある。そのなかで、日本食ブームに乗って成長著しいアジア諸国を始めとした海外市場への出店で新たな可能性を見出そうとする動きもみられ、海外出店は企業にとってリスクを伴うが、海外に活路を見出そうとする動きは今後も一層加速すると予測されている。

 同調査結果の概要は↓
 http://www.yano.co.jp/press/pdf/670.pdf

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