わが国経済は着実に持ち直しつつあるものの、水準は依然低く、特に中小企業にとってはいまだ回復の実感が乏しい状況にある。雇用情勢も総じて厳しい状況が続いており、国内雇用の約7割を支える中小企業の回復なくして、日本経済の回復はあり得ない。産業人材を取り巻く諸課題を視野に収めるとき、大企業に比べて総じて不利な状況にある中小企業において、人材の確保・育成は最大の経営課題である。
こうしたなか、東京商工会議所はこのほど、中小企業にとり“人材こそ最大の経営資源(財産)”との原点に立ち返り、「中小企業の人材確保・育成10ヵ条」との提言書を取りまとめ公表した。同書は、人材の確保・育成及び評価・処遇や企業風土や組織構造といった観点から経営者が取り組む上で重要と思われるポイントを10ヵ条にまとめたもの。ぜひ同書を活用し、この厳しい経営環境を乗り越える一助としていただきたい。
同書は、人材確保・育成のポイントとして、(1)働くことが楽しくなるような事業分野で勝負、(2)明確な方針をわかりやすく伝えよ、(3)トップが先頭に立って必死で育てる、(4)採用ミスは致命傷、(5)人が育てば企業も育つ、(6)部下の育成は仕事の一部、(7)制度や仕組みだけでは動かない、(8)中小企業らしさに誇りを持つ、(9)真似せずに学べ、(10)経営者は教育者、という10ヵ条を掲げている。
例えば、(1)では、大企業が競争力を発揮しにくい分野で事業展開し、規模の勝負を避けることや、中小企業ならではの事業分野を見つけることが従業員の働きがいにつながること、消費者や最終ユーザーから必要とされていると実感できるような職場を作ることを提案している。10ヵ条すべてに、独自の取組みにより不利な条件を克服し自社の業績向上に結びつけた取材各社の事例を掲載している。ぜひご一読を。
同10ヵ条の提言の詳細は↓
http://www.tokyo-cci.or.jp/chusho/10kajou/10kajou3.pdf