2010年09月09日-2
厚労省、メンタルヘルス対策の新たな枠組みの提言

 わが国の自殺者は、1998年以降12年連続して3万人を超えており、政府の新成長戦略(2010年6月18日閣議決定)でも2022年までの目標として、「メンタルヘルスに関する措置を受けられる職場の割合100%」が掲げられている。厚生労働省の「職場におけるメンタルヘルス対策検討会」は7日、報告書を公表し、プライバシーに配慮しつつ、職場環境の改善につながる新たな仕組みを提言した。

 報告書では、労働者のプライバシーが保護されること、労働者が健康の保持に必要な措置を超えて、人事、処遇等で不利益を被らないこと等を基本的な方針として、次のような仕組みを導入することが適当とされた。(1)一般定期健康診断に併せ、ストレスに関連する労働者の症状・不調を医師が確認する、(2)医師は、労働者のストレスに関連する症状・不調の状況、面接の要否等について事業者に通知しない。

 さらに、(3)産業医等は、労働者との面接の結果、必要と判断した場合は労働者の同意を得て、事業者に時間外労働の制限や作業の転換などについて意見を述べる、(4)事業者は医師の意見を勘案し、時間外労働の制限や労働時間の短縮等を行う場合には、産業医等の意見の内容を労働者に明示して、了解を得るための話合いを行う。また、事業者は健康確保に必要な措置を超えた不利益な取扱いを行ってはならないこととする。

 年間3万人を超える自殺者のうち、28%が「被雇用者・勤め人」となっており、「勤務時間」を自殺の原因の一つとする者は約2500人となっている(2009年)。一方で、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は34%にとどまっている(2007年)。こうしたことから、職場におけるメンタルヘルス対策の必要性が高まっており、厚労省では、同報告書を受け、労働政策審議会で制度改正に向けた議論を始める予定だ。

 同報告書の詳細は↓
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000q72m-img/2r9852000000q7tk.pdf

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