2010年09月08日-2
食品産業景況感は回復に転じ底打ち、下半期も改善

 日本政策金融公庫が実施した「2010年上半期の食品産業動向調査」結果(有効回答数2651社)によると、食品産業(製造業、卸売業、小売業、飲食店)の景況動向指数(DI)は悪化傾向から改善に転じ、今年下半期も改善の見通しとなった。DIは、前年同期と比較して、「増加(楽になる)」の割合から「減少(苦しくなる)」の割合を差し引いたもの。景況DIは、売上高DI、経常利益DI、資金繰りDIの合計を平均して算出している。

 2010年上半期の食品産業の景況DIは、1997年の調査開始から最低水準のマイナス27.0となった前回2009年下半期調査と比べ、売上高、経常利益、資金繰りともに改善となり、8.0ポイント上昇して、マイナス19.0と下落に歯止めがかかった。2010年下半期についても、さらに6.7ポイント上昇し、マイナス12.3と回復基調が続く見通しだ。明らかに食品産業の景況感は景気底打ちの判断と見受けられる。

 業種別では、「卸売業」(18.6ポイント上昇のマイナス18.3と改善)と「飲食店」(26.7ポイント上昇のマイナス17.9と改善)、百貨店の改善幅が大きく、多くが改善傾向にあるなかで、「製造業」(3.8ポイント上昇のマイナス17.0と改善)の食肉加工、牛乳・乳製品、菓子、精穀・製粉、めん類及び食肉卸売関係の業種は、販売数量の下落などで景況DIが悪化した。「小売業」は5.0ポイント上昇のマイナス32.5と改善した。

 そのほかでは、販売数量DI、販売価格DIともに下落が続き、デフレスパイラルともみえる傾向が続いていたが、2010年上半期では、販売数量DIが6.7ポイント増加してマイナス26.2となり改善、販売価格DIも14.6ポイント上昇してマイナス26.5と大幅な改善となった。これは、景気が回復基調にあることや消費者の低価格志向の一服感などが影響しているとみられている。

 日本公庫では、「米金融危機をきっかけにした世界経済低迷が日本経済にも押し寄せ、消費者の生活防衛意識の高まりから低価格志向が強まり、食品産業もその影響を大きく受けてきたが、販売数量や販売価格がようやく上昇傾向に転じ、消費者マインドに持直しの動きが続いていることなどから、食品産業にも景気回復の兆しが見えてきた」との判断を示している。

 同動向調査結果の概要は↓
 http://www.afc.jfc.go.jp/topics/pdf/topics_100830_1.pdf

ウィンドウを閉じる