2010年09月08日-1
中国を筆頭にアジア重視の姿勢を強める日本企業

 みずほ総研が、会員企業のうち資本金1000万円以上の製造業を対象に今年2月に実施した「2009年度アジアビジネスに関するアンケート調査」結果(有効回答数1486社)によると、回答企業のうちアジアビジネス(貿易・投資・技術取引)を行っている企業は954社だった。これらの企業の自社製品の2009年度と2010年度のアジア各国の売上見通しについては、中国及びインドにおいて「10%以上増」が最多だった。

 特に中国においては、2009年度が36.5%、2010年度は半数近い46.5%の回答率となり、高成長の持続により製品売上の二けた増が続くとみている日本企業が多い。その他の国(地域)では、2009年度・2010年度ともに、「0%以上~5%未満増」の回答が最多だった。リーマン・ショック直後の2008年10月~11月に行った前回調査と比べると、アジア各国の景気回復を反映し、売上は改善傾向を示す結果となった。

 今後もっとも力を入れていく予定の国(地域)については、中国、ASEAN、NIES、インド、米国、欧州、中南米の順となった。時系列でみると、1999年度の第1回調査以降、中国が一貫してトップである。中国重視の回答率は、2001年12月の世界貿易機関(WTO)加盟(中国国内市場を対外開放)などを追い風に2004年度に60%台まで上昇したが、その後、中国への投資一極集中に対する懸念から40%台まで低下した。

 しかし、2009年度調査では、再度、回答率が50%台まで高まり、中国重視の姿勢が強まった。また、高成長と人口増が続くベトナムやインドネシアを含むASEANへの関心は中国に次いで高く、近年は、インドへの関心も急速に高まりつつある。一方で、米欧への回答率は年々減少しており、金融危機以降、日本企業は、中国を筆頭とするアジア重視の姿勢を、より鮮明にしているといえそうだ。

 みずほ総研は、「米欧市場が伸び悩む中、アジア各国は、自立的な成長に向けて、インフラ整備・消費底上げなどによって内需拡大を図ることを政策課題として重視するようになっている。国内市場が伸び悩む日本企業にとって、こうしたアジア各国の動きは大きな商機。中長期的な経済成長と人口増を背景に、市場拡大が見込まれるアジアの重要性は高まっているだろう」と指摘している。

 同アンケート調査結果の詳細は↓
 http://www.mizuho-ri.co.jp/research/economics/pdf/research/r100901question.pdf

ウィンドウを閉じる