2010年09月06日-3
円高、企業の36.7%が売上に「悪影響」と回答

 サブプライム・ローン問題以降おおむね円高基調となっているなか、ここにきて米欧経済の不安再燃から8月24日には一時1ドル=83円台をつけるなど、15年1ヵ月ぶりの円高水準となっている。内需が低迷し、外需頼みが続く日本経済では、現状の円高が定着すると景気悪化の懸念も出てくる。帝国データバンクが3日に発表した「円高に対する企業の意識調査」では、3分の1の企業が円高で悪影響が及ぶと回答した。

 調査結果(有効回答数1万1578社)によると、円高が自社の売上に与える影響は、「悪影響」とする企業が36.7%を占めた。他方、「好影響」は6.9%と1割に満たない。「悪影響」を業界別にみると、「製造業」が47.4%と最多、なかでも「機械製造」や「輸出用機械・器具製造」、「精密機械、医療器械・器具製造」、「電機機械製造」など機械産業では6割を超えた。そのほか「再生資源卸売」は73.1%と51業種中でもっとも高い。

 また、海外企業との輸出入や海外生産など海外との取引が「ある」とする企業は30.4%となった。海外事業の内容(複数回答)は、「輸出」が57.3%、「輸入」が78.5%、「海外生産」が38.5%だった。業界別では、「輸出」は「製造」(72.0%)、「運輸・倉庫」(58.3%)が、「輸入」は「小売」(86.7%)、「卸売」(85.5%)が、「海外生産」は「製造」(47.0%)、「小売」(40.0%)、「農・林・水産」(40.0%)が、それぞれ多い。

 海外との取引のある企業が実施・検討している円高対策(複数回答)は、「海外調達を増やす」が19.2%で最多、次いで「円価格を維持する(外貨建て価格の引上げ)」(18.9%)、「輸入を拡大する」(17.2%)、「為替変動のリスク回避を行う(先物や先渡しなどのデリバティブ取引やオプション取引など)」(16.5%)が続いた。また、海外事業として「輸出」を行っている企業では「円価格を維持」が25.6%ともっとも多い。

 一般的に、円高は輸出にとって悪材料となる一方、輸入にとっては好材料となり、立場により円高に対する捉え方は様々だが、日本全体にとっての自国通貨価値の上昇(円高)への意識は、「好ましくない」とする企業が65.5%と、「好ましい」(9.9%)を大きく上回った。海外取引の有無別にみても、「ある」企業が69.1%、「ない」企業が65.9%と、海外取引の有無にかかわらず、3社に2社が円高を好ましくないと捉えている。

 同意識調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w1008.pdf

ウィンドウを閉じる