2010年08月30日-4
経産省、「円高の影響に関する緊急ヒアリング」公表

 足下では企業の想定ルートを上回る水準の円高が続いており、日本経済に及ぼす影響について注視していく必要がある。経済産業省が、8月11日~24日にかけて実施した「円高の影響に関する緊急ヒアリング」結果によると、最近の円高はすでにわが国企業の収益を圧迫しており、対ドルの円高で製造業の約6割強が、対ユーロでは約5割強が「減益」になると答えた。調査対象は、輸出製造業を中心に102社、中小企業が98社。

 対ドルの円高をみると、今回調査(1ドル85円)では「深刻な減益」が14%、「多少の減益」が51%と、計65%が減益になると回答したが、5月調査時(同90円)の「多少の減益」が16%のみだったのに比べ、状況は深刻化している。対ユーロでは、5月調査(1ユーロ125円)で4%だった「深刻な減益」が今回調査(同110円)では19%に、31%だった「多少の減益」も37%にそれぞれ上昇している。

 さらに対ドルの円高(1ドル85円)が半年継続すれば、「多少の減益」は51%から42%に低下するが、「深刻な減益」が14%から30%に上昇。同じく対ユーロの円高(同110円)では、「深刻な減益」は19%から27%に、「多少の減益」も37%から40%に上昇する。加えて、ウォン安により、特に新興国市場で日本企業は価格競争力のある韓国企業との競争に苦戦(電機だけでなく、自動車、鉄鋼、化学、繊維、エンジニアリングでも)する。

 また、1ドル85円の円高が継続した場合、国内産業の空洞化がさらに加速する怖れがある。製造企業のうち39%が「生産工場や開発拠点等を海外に移転」、61%が「海外での生産比率を拡大」と回答。一方で、中小企業、下請企業への影響も顕著だ。1ドル85円水準の円高が継続した場合、中小企業の73%、下請企業の82%が「減益」と回答。下請企業を中心に、取引先のコストダウン要請、取引先の海外移転の影響を懸念する声が多数にのぼる。

 同ヒアリング結果の詳細は↓
 http://www.meti.go.jp/press/20100827001/20100827001-2.pdf

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