2010年08月30日-2
産業空洞化を「感じている」中小製造業が9割強

 近年は主要企業が製造拠点の一部ないし全部を海外に移転し現地化する傾向が強まっているが、大阪市信用金庫が府下一円の中小製造業を対象に実施した「産業空洞化に対する認識等調査」結果(有効回答数500社)によると、自社の業界など産業界で産業空洞化による弊害を「感じている」とする企業が92.4%と9割強にのぼった。このうち「強く感じている」とする企業が40.4%となっている。

 また、自社の取引のある企業が実際に生産拠点の一部ないし全部を海外に移転した事例が「ある」とする企業は43.8%あった。「ある」とする企業の自社への影響(複数回答)は、「仕事量減少による売上低下・業績悪化」が75.4%で最多、「先行き不安による経営マインドの萎縮」が41.5%で続く。具体的な移転先(同)は、「中国」が81.4%で圧倒的に多く、「東南アジア」も50.0%あり、これらでほとんどすべてを占める。

 上記で産業空洞化の弊害を感じていると答えた9割強の企業に対して、この産業空洞化の改善についてどのように見通すかを尋ねたところ、「国や自治体の諸施策により改善可能」とする企業が55.5%と多く、「個別主要企業の努力により改善可能」(16.6%)を合わせると、改善可能とする企業は計72.1%となる。一方、「打つ手はなく一層深刻化する」と答えた企業は27.9%と3割弱だった。

 産業空洞化は改善可能とした7割強の企業が考える国や自治体の有効な空洞化対策(複数回答)については、「法人税減税等の税制優遇」が67.7%で最多、また「雇用制度の柔軟化、労働力の流動化」も50.0%あった。このほか、「産業立地の妨げとなる諸規制の見直し」が30.8%、「新産業の創出支援」が23.7%、「インフラ使用などのコスト削減」が17.7%、「海外の企業・産業の積極的誘致」が9.3%などとなっている。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.osaka-shishin.co.jp/houjin/keiei/pdf/2010/2010-08-18.pdf

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