2010年08月26日-1
09年度アニメ製作会社の収入高総額、2年連続減少

 スタジオジブリの2年ぶりの新作『借りぐらしのアリエッティ』やピクサーによる『トイ・ストーリー3』が7月に公開されヒット中など、アニメ映画の話題作が目白押しだが、アニメ市場自体は縮小の一途をたどっている。2009年のビデオソフト売上金額は5年連続で減少が続き(日本映像ソフト協会)、同年のテレビアニメの制作分数は「アニメバブル」が始まった2005年以前の水準まで落ち込んでいる(日本動画協会)という。

 アニメ製作会社は、DVD販売の不振と制作受注の減少という板挟みの状態にあり、厳しい事業環境に置かれている。帝国データバンクが、過去5期分の業績が判明したアニメ製作会社の主要118社を対象に実施した「アニメ製作会社の経営実態調査」結果によると、2009年度の収入高総額は1648億3000万円、前年度比3.9%減で、2年連続減少した。最近の推移をみると、2007年度(1791億2000万円)をピークに漸減している。

 直近2期の収入高の増減をみると、2008年度は「増収」企業が51社に対し、2009年度は38社まで減少。一方で「減収」企業は55社と前年度(56社)並みで推移し、全体的に減収傾向にある。収入高規模別にみると、「1億円未満」では「減収」が12社と「増収」(7社)の2倍近くまで達し、キャラクターの商品化権などの版権収入が期待できる大手に比べ、それが望めない中小では、制作収入の減少が経営を直撃する形となった。

 また、「増収」企業のなかでは、パチンコ業界と取引のある会社が目立った。同業界と取引を持つ21社をみると、約半数の11社が増収となっており、パチンコ台の版権収入や、液晶画面用の映像作成の受注などが好材料となった。また、アニメ製作会社の本社所在地は、「東京」が92.0%を占め、都内では、「練馬区」が26社、「杉並区」が25社、「渋谷区」が19社と続いた。「23区外」にも27社あり、都内西部に集中している。

 規模別では、従業員数が「10人以下」で、資本金が「1000万円以下」の会社が42.0%を占めた。それらの多くが下請け・孫請けで受注する末端の零細企業だ。また、代表が業界内で経験を積んだ後、経験と人脈を生かして新たに少人数で立ち上げるケースが多くみられるという。

 同経営実態調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p100803.pdf

ウィンドウを閉じる