2010年08月23日-3
「守り」から「攻め」へ転じつつある業績回復施策

 日本能率協会が、今年1~6月に選任された上場企業の新任取締役を対象に実施した「新任役員の素顔に関する調査」では、景気認識やマネジメント施策に対し、「守り」から「攻め」へと転じつつある結果が出た。調査結果(有効回答数252人)によると、業績回復施策(上位3項目を選択)は、「新商品・新サービスの開発」が43.3%で昨年調査に引き続きトップ、次いで「営業力の強化」(40.9%)、「人材の育成」(36.9%)となった。

 昨年調査で上位に挙がった「コスト削減」(09年44.6%→30.6%)、「業務の効率化」(同24.5%→16.7%)といった項目が、大幅な減少をみせた。対して、昨年に比べ「営業力の強化」(同33.7%→40.9%)、「人材の確保」(同12.0%→19.4%)が大きく伸びた。業務効率・コスト削減といった“守り”の施策から人材の充実が図られ、“攻め”へとシフトしつつある兆しがうかがえる。

 景気回復のための対策としては、昨年トップだった「米国経済の立直し」が22.8ポイント減と大幅ダウンの8.7%となる一方、「法人減税による企業業績の拡大」(21.4%、10年調査のみ)がトップ。「新規雇用の創出」への期待も8.7ポイント上昇し17.9%となった。また、誰の利益を最重視するかでは、「社会」との回答が昨年の6.5%から13.1%へと2倍に増加する一方、毎年トップの「従業員」が7.9ポイント減の43.7%となった。

 また、国内景気の状況を天気に例えると、09年は、「晴れ」は0%、「晴れたり曇ったり」が1.1%、「曇り」が15.2%と計2割に満たなかったのに対して、今年は「晴れ」が0.4%、「晴れたり曇ったり」が8.3%、「曇り」が56.7%と、合わせて6割を超えている。ただし、景気回復の時期については、「1年後くらい」と「2年後」、「3年後」と合わせて、昨年は全体の8割を超えていたのに対し、今年は7割に届いておらず、厳しい見方が多い。

 同調査結果の概要は↓
 http://www.jma.or.jp/news_cms/upload/release/release20100806_f00107.pdf

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