2010年08月19日-3
食品産業の商品志向は「低価格」が減少~日本公庫

 日本政策金融公庫が7月1日時点で実施した「2010年上半期食品産業動向調査」結果(有効回答数2651社)によると、食品産業(製造業、卸売業、小売業、飲食業)の現在の主力商品の志向(2つまで回答)は、「安全」(46.6%)の確保を最優先する姿勢に変わりはないものの、「低価格」と答えた企業の割合が前回2009年下半期の42.7%から40.7%へと減少したことが注目点となっている。

 これは、消費者の「経済性」志向の減少と一致した動きとなっていて、景気回復基調のなかで消費者の“節約疲れ”が出てきたのと同じく、「低価格」競争が続いてきた食品産業の“安売り疲れ”がみられたためと分析している。ちなみに、今年6月に実施した2010年度消費者動向調査結果(有効回答数2000人)では、「経済性」志向が、前回2010年1月調査では43.2%だったのが、39.0%に減少している。

 今後の食品産業の商品志向(2つまで回答)では、「安全」(48.0%)を第一に、「健康・美容」(19.0%、2009年下半期比3.6ポイント増)、「簡便化」(16.6%、同1.2ポイント増)を重視していくことが分かった。また、「味」(23.8%)、「地元産」(22.2%)、「国産」(16.7%)志向についても、「低価格」が減少傾向にあるなかで、一定の水準を維持しており、商品戦略において“低価格から付加価値”に方向転換してきていることがうかがえる。

 また、食品産業動向調査で「健康・美容」志向については、現在の商品志向での7.8%が今後の商品志向では19.0%と、大きく伸びると予測している。ただし、消費者動向調査において高い志向水準を維持している消費者の「健康」志向(現在36.6%、今後42.1%)とは大きな開きがあり、日本公庫は、「この消費者トレンドをどう商品開発と販売促進につなげていくかが課題」と指摘している。

 同動向調査結果の概要は↓
 http://www.afc.jfc.go.jp/topics/pdf/topics_100812_1.pdf

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