2010年08月19日-1
クラウド、20年までに累計40兆円超の新市場創出

 クラウドコンピューティングは、自らIT(情報技術)機器を所有せずに、ネットワークを通じて顧客管理や会計処理システムを提供する仕組みのこと。経済産業省がこのほど公表した「クラウドコンピューティングと日本の競争力に関する研究会」の報告書は、クラウドに関する制度や基盤を整備することで、2020年までに累計40兆円を超える新サービス市場が創出できると試算した。

 同報告書では、クラウドの効用として、市場拡大のほか、情報処理に係るCO2排出を1990年比約7%削減できると分析。また、クラウドコンピューティングの普及・促進のため、(1)市場の健全な発展を通じたクラウド基盤の整備・充実、(2)データの外部保存・利活用を促す制度整備と社会的コンセンサスの形成、(3)クラウドを活用したビジネスの国際展開につながるイノベーション創出の後押し、の三位一体の政策が必要と提言している。

 基盤整備では、データセンタの国内立地を促進するため、地元自治体、電力会社、データセンタ事業者、IT企業などのアライアンスを複数地域で構築し、市場においてクラウドサービスの多様な選択肢が充実するよう支援していく。また、データセンタの環境性能を正確に測る省エネ指標や、信頼性を高めるクラウド間連携のための手続きや信頼性指標について、世界に先駆けて標準化を目指していく。

 制度整備では、データの外部保存やサービスの外部委託の障害となる諸規制の緩和、匿名化を中心としたプライバシーに配慮したデータ利活用・流通のルール整備、デジタル教科書など著作物の二次利用を可能とする制度整備を推進していく。さらに、政府のクラウドサービス活用促進、データの越境移動やクラウドサービス国際展開の円滑化に向けた国際ルールの策定を目指す。

 イノベーション創出では、大量の情報をリアルタイムに処理することで新たなサービスが喚起されるような分野について、世界を先導するビジネスプラットフォームの構築・実証事業を推進することで、クラウドサービスを通じた国際展開を図っていく。新サービス創出のための業種横断的なアライアンスの形成、革新的社会システムの実証(例:電力、医療、教育等)、社会システム輸出・クラウドサービスの国際展開を支援する。

 同報告書の概要は↓
 http://www.meti.go.jp/press/20100816001/20100816001-2.pdf

ウィンドウを閉じる