2010年08月05日-3
海外旅行の落込み厳しく旅行会社の約7割が減収

 近年の旅行会社を取り巻く環境は厳しさが続いている。帝国データバンクが、2009年度の収入高50億円以上の旅行会社を対象に実施した経営実態調査によると、主要125社の2009年度の収入高総額は前年度を5.9%下回る4兆9699億3800万円となった。2009年度は、一年を通して個人消費が低迷していた上、新型インフルエンザの流行や法人需要の低迷なども重なって、収入は伸びなかったとみられている。

 2008・2009年度の収入高について前期と比較すると、2008年度は燃料サーチャージの度重なる値上げがあり、「増収」企業が68社、全体の54.4%と半数以上となっていたが、2009年度は一転して「減収」企業が86社、同68.8%と全体の約7割を占める結果となった。不況による節約志向から「安・近・短」傾向が広くみられた一方で、欧州などへの旅行者が減少。旅行単価の下落から減収となった企業が多くみられた。

 2009年度収入高の増減を規模別にみると、収入高上位30社では「減収」が26社と多かったのに比べて、61位から125位までの中堅企業65社では「増収」が38社と多くなっており、特に上位陣の不振が目立つ。「増収」のなかでは、「安・近・短」志向と円高ウォン安を背景に韓国商品に力を入れた会社や、需要の落込みが比較的少なかった国内部門を専門に展開する会社が多くみられたという。

 一方、2009年度の旅行会社の倒産は52件発生し、過去5年間で最多となった。倒産の原因では、販売不振や業界不振などの「不況型倒産」が最多、景気後退で旅行需要が低迷するなか、薄利多売方式で価格競争が激化し、資金繰りが厳しくなって倒産に至る企業が続出。また、近時は航空会社によるゼロ・コミッション(旅行会社に対する発券手数料の廃止)が本格化したことでさらに収益が悪化し、経営が行き詰まるケースが散見された。

 同実態調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p100705.pdf

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