2010年08月02日-1
新入社員の海外志向の強弱が二極化、半数は内向き

 産業能率大学が、今年4月に新卒採用された18歳から26歳までの新入社員を対象に実施した「新入社員のグローバル意識調査」結果(有効回答数400人)によると、今年度新入社員のおよそ2人に1人(49.0%)が、海外で「働きたいと思わない」と考えていることが分かった。働きたくない理由(複数回答)をみると、「リスクが高い」(56.1%)、「能力に自信がない」(54.6%)のほか、そもそも「海外に魅力を感じない」も44.4%あった。

 この働きたいと思わない層は初回の2001年度調査から19.8ポイント増えているが、一方、「どんな国・地域でも働きたい」とする層も同年度調査から9.7ポイント増加の27.0%となり、高い海外志向を持つ層も過去最高となり、海外志向が強弱はっきり分かれてきた印象だ。海外で働きたい理由(複数回答)は、「自分自身の視野を広げたいから」(82.8%)や「日本ではできない経験を積みたいから」(77.9%)が多く挙げられた。

 海外赴任を命じられた場合では、「命令ならば仕方なく従う」とするしぶしぶ受ける層が40.0%でもっとも多く、次いで「喜んで従う」(33.0%)となったが、「退職覚悟で断固断る」という強硬派も20人に1人の5.3%いた。海外で働きたくない人が約半数いる割には、「命令ならば仕方なく従う」が多い印象だ。グローバル化の進展に伴って、この現実をいつか受け入れなければいけないという認識は持っているのかもしれない。

 海外勤務の不安(複数回答)については、「治安」が84.8%で最多、これに「言葉」(78.5%)、「食事」(64.3%)、「現地での人間関係の構築」(52.8%)などが続いた。一方で、「仕事上の責任の重さ」(31.3%)は3割強にとどまっており、仕事よりも生活を取り巻くことに不安があるようだ。なお、海外勤務の条件(自由回答)では、期間の限定、赴任中の手当や安全確保、帰国後の処遇に関する要望が比較的多かった。

 同意識調査結果の詳細は↓
 http://www.sanno.ac.jp/research/pdf/global2010.pdf

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