2010年07月29日-4
有期労働契約法制で日弁連が意見書を集約

 日本弁護士連合会はこのほど「有期労働契約研究会中間取りまとめに対する意見書」をまとめた。(1)貧困対策との基本的視座の明確化、(2)無期労働契約が原則であることの明確化と締結事由の規制、(3)入口規制と併せて更新回数・利用可能期間の上限制の導入、(4)締結事由の規制(入口規制)実現までの施策、(5)均衡待遇、正社員への転換等、(6)男女賃金格差及び男女共同参画社会の理念を実現する視点、を主張している。

 意見書では、有期労働契約法制の検討に当たって、有期労働契約の問題が日本の深刻な貧困問題に直結していることを認識し、貧困対策の一環であるとの観点を基本に据えるべきとし、有期労働契約が、労働者の権利の行使を事実上抑制する効果を有し、また、解雇規制の潜脱に利用され、不安定雇用の温床となっていることから、期間の定めのない雇用が原則であること(無期原則)を明確にするべきであると強調。

 その例外となる有期労働契約の締結事由は、合理的理由がある場合に制限すべきで、有期労働契約の入口規制とともに更新回数、利用可能期間の上限規制を併せて行い、利用制限をより一層強化することを要望。また、有期労働契約の締結事由を制限する抜本的改正がなされるまでの措置として、判例法理である雇止め制限法理(解雇権濫用法理の類推適用)の立法化、権利性・実効性のある正社員転換制度を早期に実現すべきとしている。

 さらに、就労形態の違いによる賃金格差解消のための同一労働同一賃金原則について、民事効規定の導入を含めて実効ある制度を設けることを求めるとともに、有期労働契約法制の検討に当たっては、女性労働者の多くが有期契約労働者であるという実態を踏まえ、男女賃金格差の解消及び男女共同参画社会の理念を実現する視点に立った検討がなされるべきであるとの意見を示している。

 同意見書の全文は↓
 http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/data/100715.pdf

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