2010年07月29日-3
強まる中小製造業の海外設備投資意欲~中小公庫

 日本政策金融公庫が27日に発表した中小企業動向トピックスによると、中小製造業の海外設備投資意欲が強まっており、目的別では「現地需要の開拓・拡大への対処」の構成比が上昇していることが分かった。同公庫が今年4月に実施した「中小製造業設備投資動向調査」によれば、国内法人及び海外現地法人の設備投資金額から算出した、海外設備投資比率は、2009年度実績は4.6%と前年度実績(4.7%)と比べほぼ横ばいとなった。

 一方、2010年度当初計画は6.8%と、前年度実績に比較して2.2%ポイント上昇する見通しとなっており、ここ10年間では2002年度実績の6.4%を上回る最高値で、中小製造業の海外設備投資意欲が強まっていることがうかがわれる。ただし、経済産業省の「海外事業活動基本調査」によれば、製造業全体の海外設備投資比率は18.4%(2008年度実績)となっており、中小製造業の水準自体はまだ低いものとみられている。

 海外設備投資を実施した(予定含む)中小企業について、国内本社の従業員規模別構成比をみると、2009年度実績、2010年度当初計画ともに「100~199人」規模の構成比がトップ、「50~99人」、「20~49人」と続く。2005年度実績と2010年度当初計画を比較すると、20~49人規模、50~99人規模といった「小規模層」の構成比が上昇しており、この5年間で海外設備投資の裾野が小規模層にまで広がりをみせていることがうかがわれる。

 中小製造業の海外設備投資の目的別構成比をみると、2009年度実績、2010年度当初計画ともに、「主力取引先の海外展開への対応等」を選択した企業の構成比(09年度46.4%、10年度45.1%)がもっとも高い。次いで、海外設備投資の国(地域)を生産拠点のみならず、販売市場としても捉える「現地需要の開拓・拡大への対処」(09年度23.8%、10年度27.8%)が続いている。

 2005年度実績と2010年度当初計画を比較すると、「現地需要の開拓・拡大への対処」は15.7%から27.8%へと大幅に上昇している。一方で、日本への逆輸入等によるコスト低減を目的とするような「日本での競争力の強化等」は35.8%から16.7%へと大きく低下しており、中国を中心としたアジア諸国の経済成長を背景に、中小製造業の海外設備投資の目的が、この5年間で大きく変化してきていることがみてとれる。

 同トピックスの詳細は↓
 http://www.jfc.go.jp/common/pdf/topics_no20_100727.pdf

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