2010年07月15日-3
今年上半期の上場企業系列倒産は29件、過去2番目

 帝国データバンクがこのほど発表した「上場会社の子会社・関連会社の倒産動向調査」結果によって、上場企業の子会社・関連会社の倒産の年半期別推移をみると、2010年上半期(1月~6月)は29件発生し、集計開始の2005年以降で最多だった2009年上半期の30件に次ぐ過去2番目の高水準となった。一方、2010年上半期の負債総額は866億800万円にとどまり、前年同期比48.8%の大幅減少で半減した。

 上場会社の2010年3月期決算は、中国・インドなどの新興国需要や国内景気の緩やかな回復を受け、過去最高益を更新した企業も目立ち、総じて収益改善を印象付けた。主な要因の一つとして、日々の業務改善や事業構造の見直しなどを通じたコスト削減の取組みが挙げられ、業績不振の系列子会社や関連会社を法的整理するケースも散見されたという。こうしたことが、上場企業系列の倒産が高水準となった要因とみられる。

 26件を業種別にみると、「サービス業」が11件でトップ、前年同期比10%増となり、高止まりが続いている。具体的には、ソフト開発、広告業がそれぞれ3件を占めた。次いで「流通業」が8件、同100%増と増加が目立つ。大証ヘラクレス上場の(株)トライアイズ系列の東京ブラウス(株)(負債16億2800万円)、(株)松崎(同12億5000万円)の2社が、消費低迷による業績悪化から倒産に追い込まれた。

 倒産した系列企業の親会社を業種別にみると、「メーカー」が8件でトップ。世界的な需要急減で大手メーカーがグループ内の事業再編に迫られた2009年上半期(14件)に比べて4割減となったものの、依然として高水準が続いている。このほか、「サービス」(6件)、「流通」(4件)系列の子会社・関連会社の倒産も目立つ。一方、すでに傘下企業の整理のピークが過ぎた「建設」(1件)や「銀行」(0件)は低水準にとどまった。

 今後は先行き不透明な情勢が続くなか、財務基盤強化に向けた一段のリストラはさらに広がる見通し。加えて、2010年度税制改正における「清算所得課税の廃止」がこうした動きを後押しかねないとみられている。今後、法改正により新たに課税リスクが生じることで、現行法が適用される9月までの一定期間に、駆け込み的に特別清算の申請が相次ぐ可能性もあり、上場企業によるグループ処理の動向が注目されるところだ。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p100701.pdf

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