2010年07月12日-4
上半期企業倒産、上半期としては初の前年同月比減少

 帝国データバンクがこのほど発表した法的整理による全国企業倒産状況(負債1千万円以上)によると、2010年上半期の倒産件数は5989件にとどまり、前年同期の7023件を14.7%下回った。集計基準を法的整理のみに変更した2005年4月以降、上半期としては初の前年同期比減少。半期ベースでは、前年同期まで7期連続で前期を上回ったが、2009年下半期からは2期連続で前期を下回るなど、企業倒産は沈静化が鮮明となっている。

 月別推移をみても、1月の前年同期比17.9%減を筆頭に、すべての月で前年同月を下回った。倒産件数が減少傾向にある主な要因は、3月末時点で約36万件を突破した中小企業金融円滑化法に基づく返済条件緩和による部分が大きく、金融機関の積極的なリスケ対応により多くの企業が資金繰り破たんを回避、先送りしているのが現状だ。また、景気回復と政策効果もあり、建設、製造、卸売、不動産業の倒産の減少が目立った。

 一方、負債総額は4兆1546億8100万円で、3年ぶりに前年同期を下回った。1月の日本航空など3社だけで2兆3221億8100万円と、全体の55.9%を占めており、3社を除く負債総額でみると、半期ベースで最低の1兆8325億円と、縮小傾向がより鮮明となった。これは、大型倒産の沈静化が続き、上場企業倒産は4件(前年同期18件)、負債100億円以上の大型倒産も23件(同71件)にとどまったこと、などが要因・背景にある。

 負債額別にみると、負債5000万円未満の零細企業の倒産は2856件発生し、前年同期の2831件を0.9%上回り、負債額別で唯一の増加となった。一方、負債100億円以上の大型倒産は、上記のように23件にとどまり、前年同期比67.6%の大幅減少。資本金別にみても、資本金1億円以上の倒産が130件と、前年同期の210件を38.1%下回るなど、企業再生支援機構や事業再生ADRなど、新たな私的整理手法が大型倒産減少に寄与した。

 同倒産状況の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/tosan/syukei/10kami.html

ウィンドウを閉じる