2010年06月21日-3
全体の倒産は減少も零細企業の倒産は高水準で推移

 国内景気の回復と金融支援策の効果で、全体の倒産件数は減少基調にある一方で、零細企業の倒産は高い水準で推移している。帝国データバンクがこのほど発表した「零細企業の倒産動向調査」結果によると、2009年度における全体の倒産件数は前年度比2.8%減の1万2866件と減少しているのに対し、零細企業の倒産件数は同6.7%増の5739件(構成比44.6%)と増加している。

 月別でみると、全体の倒産件数は2009年9月以降から前年同月比で毎月減少が続いているのに対して、零細倒産では高水準で推移。2010年度も、全体件数の減少に比べて零細倒産の減少の度合いは明らかに低く、零細企業の経営環境の回復の鈍さがうかがえる。構成比では、2009年後半から45%前後で推移。直近の5月期においては零細倒産が50.7%を占め、集計基準を法的整理のみに変更した2005年4月以降で過去最高となっている。

 2009年度の零細企業の倒産5739件を主因別でみると、販売不振や業界不振などを含めた「不況型」が4538件で全体の79.1%を占めてトップとなり、次いで「放漫経営」(96件)、「過小資本」(90件)、「経営者の病気、死亡」(67件)などとなった。近年の世界的不況に伴う受注の低迷や競合の激化によって、脆弱な経営基盤しか持たない零細企業が支えきれずに倒産に至る、といったケースが多い。

 業種別にみると、「建設業」が1363件(構成比23.7%)で最多、次いで「サービス業」が1290件(同22.5%)、「小売業」が1258件(同21.9%)など。「不動産業」は全体では減少しているが、零細企業では前年度比42.5%の増加となった。また「建設業」は、公共事業発注の前倒しなどによって全体の件数は減少したが、零細企業では同9.7%増加し、業界における受注競争のしわ寄せが下請零細企業へ影響を与えたとみられている。

 同動向調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p100603.pdf

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