2010年06月21日-2
「GC注記」が付記された3月期上場企業は59社

 監査法人が決算書に注記する「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン(GC)注記)」が付記された上場企業は3月期で59社あったことが、東京商工リサーチがこのほど発表した「2010年3月期上場企業『継続企業の前提に関する注記』調査」結果で明らかになった。2009年3月期のGC注記企業は85社で、37社が外れたが、新たに当期中(第1、第2、第3四半期含む)11社にGC注記が付いた。

 2010年3月期決算では、大手を中心に上場企業の業績回復が明らかになり、業績不振によるGC注記企業は減少している。しかし、2009年3月期決算でGC注記が外れた37社のうち、11社が1年間で上場廃止基準抵触やTOBなどによる株式非公開化で上場廃止に至った。うち3社は倒産するなど、投資家や取引先への情報開示によるGC注記の重みがより一層増している。

 また、2010年3月期決算で「継続企業に関する重要事象」として表記されたのは、前年度の59社から72社に増えた(重要事象の項目はあるが、「当該事象は解消された」等の記載にとどまるものは除外)。これまで何もなく新たに重要事象が表記されたのは13社。このほか、前年度末までGC注記が付いていたが、当期決算でGC注記が外れ、「重要事象」が付いた企業は10社だった。

 GC注記企業59社のうち、9割強の54社が「重要・継続的な売上減、損失計上、営業キャッシュ・フローのマイナス」など本業面での業績悪化を理由に挙げた。このほか、「資金繰り悪化や資金調達難」10社、「金融機関や取引先などに債務の返済条件変更を要請したり、今後要請の可能性がある」もしくはすでに「支払延滞が発生」した企業が8社あり、業績や財務内容の回復が遅れている企業の資金調達環境が依然厳しいことがうかがえる。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/2010/1202678_1612.html

ウィンドウを閉じる