2010年06月10日-4
5月企業倒産879件、2年4ヵ月ぶりの900件割れ

 帝国データバンクがこのほど発表した法的整理による全国企業倒産状況(負債1千万円以上)によると、5月の倒産件数は879件にとどまり、前月比は8.6%の減少、前年同月比も16.8%の減少となり、2009年9月以降9ヵ月連続で前年同月を下回った。前年同月比の減少率は、4月(17.7%)に引き続き2ヵ月連続二ケタ台の高水準。倒産件数が900件を下回るのは、2008年1月の888件以来、2年4ヵ月ぶりとなっている。

 倒産件数が減少傾向にある要因としては、(1)建設業(217件)が前年同月比15.6%減少し、公共工事前倒しによる下支え効果が引き続き寄与したこと、(2)地域別で東北(32件、前年同月比▲44.8%、九州(49件、同▲38.0%)などの地方圏で減少したこと、などが挙げられている。背景には建設業者の倒産減少があるが、他方で「地場の産業が疲弊して、資金がないため法的整理入りしたくてもできない零細業者が多い」との指摘もある。

 一方、負債総額は3044億8100万円となり、前月比は19.6%の増加となったものの、前年同月比は40.5%の大幅減少となり、4ヵ月連続で前年同月を下回った。これは、(1)負債額トップが、総合不動産業のプロパストで負債554億4700万円だったこと、(2)負債100億円以上の大型倒産は4件にとどまり、2009年5月の6件以降、13ヵ月連続で一ケタ台にとどまったこと、などが要因・背景にある。

 負債額別にみると、負債5000万円未満の小規模倒産は446件発生し、構成比は50.7%で2010年3月の48.0%を上回り、集計基準を法的整理のみに変更した2005年4月以降で最高の割合となった。一方、負債100億円以上の大型倒産は4件、13ヵ月連続で一ケタの件数にとどまった。資本金別にみると、個人経営と資本金1000万円未満の倒産が479件発生、構成比は54.5%を占めた。

 中小企業基本法に基づく中小企業・小規模企業をみると、中小企業は876件で全体の99.7%、小規模企業も774件で同88.1%を占めるなど、小規模倒産は依然高水準で推移している。一方、従業員数合計は5295人にとどまり、3年6ヵ月ぶりに6000人を下回った。

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