2010年06月07日-4
貸金業法改正、企業の約5割が「倒産の増加」を懸念

 近年の多重債務問題の深刻化を受け、借り過ぎ・貸し過ぎを防止する総量規制やグレーゾーン金利の撤廃などを定めた改正貸金業法が今月18日から完全施行される。帝国データバンクが5月下旬に実施した「改正貸金業法に対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万806社)によると、55%の企業が「過剰貸付の抑制」に効果があるとの認識を示す一方で、約5割の企業が「倒産の増加」を懸念していることが分かった。

 改正貸金業法のメリット(複数回答)については、「過剰貸付の抑制」が54.5%と過半を占めて最多、次いで「多重債務者の減少」(49.0%)、「上限金利の引下げ(グレーゾーン金利の撤廃)」(46.2%)が4割を超えた。特に「過剰貸付の抑制」は、10業界中、「その他」(48.1%)を除く9業界で5割以上となっており、幅広い業界で貸金業法改正のメリットとして認識されている様子がうかがわれる。

 他方、デメリット(複数回答)としては、「緊急の少額借入の困難化」(50.7%)が5割超で最多となり、「個人事業主の倒産の増加」(45.8%)とともに、企業が法改正のデメリットと考える二大理由となった。また、「法人企業の倒産の増加」は14.9%で、法改正により個人事業主あるいは法人企業のいずれかの倒産が増加すると考えている企業は48.6%と約5割に達した。特に「金融」は53.1%と、過半数が「倒産の増加」を懸念している。

 貸金業法の対象となる機関(消費者金融業者や金融の貸借の媒介業者、手形割引業者、クレジットカード会社(キャッシングのみ)、信販会社、総合リース会社、その他流通業者など)からの借入状況は、「ない(なかった)」と回答した企業が88.7%となる一方、「ある(あった)」は3.7%だった。特に、企業規模が小さくなるほど借入経験企業が多くなり、「小規模企業」では6.6%と「大企業」(2.2%)を4.4ポイント上回っている。

 また、貸金業法の改正での自社の資金繰り状況への影響については、85.1%の企業が「影響はない」と回答。他方、「影響がある」と回答した企業は、「非常に」0.3%、「やや」2.7%の計3.0%となった。規模別にみると、「小規模企業」は5.0%と「大企業」(2.3%)を2.7ポイント上回る。さらに、貸金業法対象機関からの借入が「ある(あった)」企業では18.5%となり、2割近くの企業が資金繰りへの影響を懸念している。

 同意識調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w1005.pdf

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