2010年06月07日-3
企業収益回復も設備投資の回復遅れる~法人企業統計

 財務省が公表した法人企業統計によると、2010年1~3月期の全産業の経常利益は前年比163.8%と2四半期連続の増加となった。原油価格の上昇に伴い変動費(同10.2%)は6四半期ぶりに増加に転じ、人件費などの固定費(同▲0.1%)も減少幅が大きく縮小した。しかし、設備投資は前年比▲11.5%と、12四半期連続の減少となった。製造業を中心に慎重な姿勢を裏付けている。

 経常利益が伸びたのは、リーマン・ショック後の急速な落ち込みから前年の水準が極めて低かったこともある。また、輸出の回復により売上高(同10.6%)が急回復したため、経常利益は前期に続き非常に高い伸びとなった。売上高経常利益率は全産業ベースで3.3%となり、前年比1.9ポイント改善。製造業は前年差7.1ポイントと改善幅が大きく拡大したが、非製造業は前年差▲0.1ポイントと、3四半期ぶりに悪化している。

 経常利益の内訳を業種別にみると、製造業は18業種の全てが黒字となった。「輸送用機械」は2008年10~12月期から2009年4~6月期まで3四半期続けて赤字となっていたが、国内外の自動車購入促進策の効果で国内販売、輸出ともに好調が続いたため、2009年7~9月期に黒字に転じた後、10年1~3月期の黒字額は1兆389億円となり、2年前の水準(2008年1~3月期:1兆576億円)にほぼ並んだ。

 非製造業では、「卸・小売業」(前年比24.3%)、「情報通信業」(同11.9%)は2四半期連続で増加。「建設業」(同▲14.0%)、「サービス業」(同▲15.2%)が減少に転じたほか、原油価格下落の効果から2009年1~3月期以降黒字が続いていた「電気業」が再び赤字(▲448億円)に転落した。労働分配率は4四半期連続で低下し64.4%となった。製造業は4四半期連続で低下したが、非製造業は5四半期ぶりに上昇した。

 同調査結果は↓
 http://www.mof.go.jp/ssc/h22.1-3.pdf

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