2010年05月31日-4
09年度の個別労働紛争相談、過去最多の約25万件

 個別労働紛争処理制度は、個々の労働者と事業主の紛争を、裁判に持ち込まず紛争当事者間で自主的かつ迅速な解決を図る制度。厚生労働省が26日に発表した2009年度における同制度の施行状況によると、民事上の個別労働紛争に係る相談件数が約25万件で、過去最多となった。同制度は2001年10月発足以降依然として増加を続けており、リーマンショックが発生した2008年度に比べ増加率は低下したが、件数としては増加した。

 全国約300ヵ所に設けられた総合労働相談コーナーに寄せられた労働相談は、2009年度1年間で前年度比6.1%増の114万1006件。このうち、労働基準法上の違反を伴わない解雇、労働条件の引下げなどの民事上の個別労働紛争に関するものは4.3%増(前年度19.8%増)の24万7302件となり、過去最多となった。内容別では、「解雇」が24.5%でトップ、「労働条件の引下げ」が13.5%、「いじめ・嫌がらせ」が12.7%で続いた。

 また、自主的な紛争解決が難しい場合は、弁護士などの有識者で構成された紛争調整委員会にあっせんを申請できるが、2009年度のあっせん申請受理件数は前年度比7.5%減の7821件だった。一方、処理状況をみると、手続きを終了した8096件のうち、「合意が成立」したものが35.0%、申請者の都合による「申請取下げ」が6.4%、紛争当事者の一方が手続きに参加しないなどの理由による「あっせんの打ち切り」が58.1%だった。

 処理期間は、「1ヵ月以内」が53.0%、「1ヵ月超2ヵ月以内」が37.5%とおおむね迅速に処理されている。申請者は、労働者が97.9%(7658件)と大半を占めるが、事業主からの申請も1.9%(146件)、労使双方からの申請も17件あった。労働者のうち54.4%は正社員だが、パート・アルバイトや期間契約社員等も32.8%を占める。事業所の規模は、「10~49人」が30.5%、「10人未満」が18.9%、「300人以上」が12.6%の順。

 あっせん例では、申請人が有期契約労働者で、これまで更新を20数回繰り返したが、成績が悪いことを理由に突然「契約を更新できない」と通告された事例がある。理由が納得できず、会社側の誠意もみられないため、精神的苦痛や経済的損失に対する補償を求めて、あっせん申請を行ったもの。あっせん委員会が双方の主張を整理し、判例を示し当事者間の調整を行った結果、解決金○○円を支払うことで双方の合意が成立している。

 2009年度個別労働紛争解決制度施行状況の詳細は↓
 http://www.mhlw.go.jp/stf/2r98520000006ken-att/2r98520000006kge.pdf

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