2010年05月31日-2
金融円滑化法に基づく返済猶予の申込は約48万件

 昨年12月4日に中小企業金融円滑化法が施行され、金融機関は中小企業や住宅ローンの借り手の申込に対し、元本猶予や返済期間延長、旧債借換えなどの条件変更にできる限り応じることを求められた。東京商工リサーチが全国395金融機関を対象に実施した「金融円滑化法に基づく返済猶予の実績調査」結果によると、3月末までに約48万件の返済猶予の申込があり、実際に返済期間の延長に応じたのは約35万件だった。

 395金融機関に対する返済猶予の申込件数は48万3862件、金額は12兆7907億万円。このうち、実行件数は35万3317件(実行率73.0%)、金額は9兆8693億円(同77.1%)で、件数、金額ともに70%以上となった。謝絶は7465件(金額2074億円)で申込件数の1.5%にとどまり、審査中が10万2911件(同2兆3457億円)あるほか、債務者の意思による申込撤回や倒産などによる取下げが2万167件(同3367億円)だった。

 中小企業(一般事業を行う個人を含む)の申込件数は43万3044件、金額は12兆230億円。このうち実行件数は32万8197件(実行率75.7%)、金額は9兆4853億円(同78.8%)で、ともに75%以上だった。一方、謝絶の件数は5956件(謝絶率1.3%)、金額は1852億円(同1.5%)で、こちらはともに1%台にとどまった。申込件数を地区別にみると、「関東」が17万2783件で全体の約4割を占め、次いで「近畿」が6万4809件などだった。

 中小企業の申込件数を金融機関の業態別にみると、「大手行」が6万6135件(構成比15.2%)、金額3兆2355億円(同26.9%)、「地方銀行」が15万803件(同34.8%)、4兆4742億円(同37.2%)、「第二地銀」が5万4526件(同12.5%)、1兆2987億円(同10.8%)、「信用金庫」が15万5926件(同36.0%)、2兆9339億円(同24.4%)のほか、「信託銀行」が1230件、684億円、「ネット銀行他」が4424件、122億円だった。

 これに対して実行は、「大手行」が4万5748件(実行率69.1%)、金額2兆4946億円(同77.1%)、「地方銀行」が11万7328件(同77.8%)、3兆6870億円(同82.4%)、「第二地銀」が3万9933件(同73.2%)、9773億円(同75.2%)、「信用金庫」が12万754件(同77.4%)、2兆2686億円(同77.3%)だった。件数の実行率では、信用金庫と地方銀行が77%台だったのに対し、大手行、信託銀行との業態間の格差が目立った。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/2010/1202379_1612.html

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