2010年05月20日-4
09年度不動産売却上場企業は調査開始以来最少68社

 2009年度に国内不動産を売却した東京証券取引所一部、二部上場企業は、1993年度の調査開始以来、最少社数の63社だったことが、東京商工リサーチの調査で分かった。東証上場企業においては、原則として譲渡する固定資産の帳簿価額が純資産の30%相当額以上、または譲渡による損益見込み額が経常利益または当期純利益の30%相当額以上のいずれかに該当する場合は、固定資産売却の適時開示が義務づけられている。

 調査資料は「会社情報に関する適時開示資料」(2010年5月7日公表分まで)に基づくが、2009年度に国内不動産の売却契約、または引渡しを実施した東証一部、二部上場企業は前年度比19.0%減(16社減)の68社にとどまり、5年連続前年を下回った。これは、リーマン・ショック後の世界同時不況発生による不動産市場低迷が影響したもの。不動産取得資金の調達難から有力な買い手が減少し、国内不動産取引が減少したとみられている。

 このほか、国内不動産ファンドによる不動産投資の減少から固定資産譲渡での信託受益権の売却がみられず、国内不動産証券化市場の規模縮小を物語った。最近の不動産市場の動向は、一部で底入れの兆しも出ているが、本格回復には時間を要するとみられている。このため、企業の保有資産の効率的運用や財務体質強化のための固定資産譲渡を制約するため、今後の経営計画への影響が懸念されている。

 2009年度の売却土地総面積は、公表した56社合計で95万9250平方メートル。前年度比5.6%増(前年度:公表73社、90万7779平方メートル)だったが、売却土地面積1万平方メートル以上は、18社(同27社)にとどまった。公表売却土地面積トップは、東京・銀座の賃貸物件(宅地)などの土地交換と建物等の売買取引を行った「セイコーホールディングス」の14万1108平方メートルだった。

 譲渡価額の総額は、公表した65社合計で2799億5400万円(見込み額含む)。個別トップは「ヒューリック」の460億円。また、譲渡損益の総額は、公表した59社合計で1315億500万円(同)。内訳は譲渡益計上が43社で合計1390億2500万円。譲渡益トップは「ヒューイック」の307億円だった。対して、譲渡損を公表したのは14社で、譲渡損の合計は75億2000万円。このほか損益なしが2社だった。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/2010/1202077_1612.html

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