2010年05月19日-2
09年度コンプライアンス違反倒産は4割減の94件

 「コンプライアンス」は企業の社会的使命という考えは、確実に定着してきているが、過剰な利益追求姿勢の新興企業は多く、上場企業や公共性を持ち一般的には信用性が高いとされる企業ですら、循環取引などの粉飾決算に手を染め、それが露見して破綻する例は後を絶たない。帝国データバンクは、2009年度の間に、倒産理由にコンプライアンス違反が認められる負債額1億円以上の法的整理となった企業を抽出し、調査分析した。

 その調査結果によると、今年3月までの1年間(2009年度)のコンプライアンス違反倒産は94社と、前年度の156社から39.7%の大幅減少に反転した。これは、全体の法的整理件数自体の減少(2009年度は対前年度比2.8%の減少)に伴うもので、特に公共工事の前倒し執行により、建設業の法的整理件数が前年度比6.5%の減少に転じているなかで、コンプライアンスに違反している建設会社の減少が目立ったという。

 違反類型別にみると、第1位は「粉飾」の25社(前年度44社)で4年連続のトップとなった。金融機関に返済延長のリスケ要請をする際に過去の粉飾決算が明らかとなり、かえって支援を得られずに破綻する例も見られる。第2位は「業法違反」の17社(同19社)。消費者保護や行き過ぎた自由化の反動で、政府・自治体の法令の強化や適用の厳格化が原因のせいか、微減にとどまった。

 第3位は「資金使途不正」の9社(前年度22社)。役職員の横領や親密先への不透明な資金流出が該当する。第4位は「談合」の8社(同30社)と「偽装」の8社(同17社)。「談合」は、短期的には前倒し発注などで建設会社の経営破たんが沈静化したことが大幅減少の要因と考えられるが、公共工事自体そのものの減少や、「脱・談合」の意識が定着してきていることも一因とみられている。

 なお、業種別では、「建設業」が22社で5年連続のトップとなったが、前年度の50社からは半減以下となった。このうち「談合」は、前年度において25社を占めていたが、2009年度は8社に激減した。以下、「サービス業」が20社(前年度24社)、「卸売業」が17社(同30社)、「製造業」が16社(同23社)などで続いている。全体的な法的整理の減少により、「その他の業種」(5社→5社)を除いて全業種で件数が減少している。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p100502.pdf

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