2010年05月17日-2
中小企業の海外事業拠点は「中国」が55%で最多

 商工中金が、海外に情報収集、営業、生産等のための事業拠点を保有している企業を対象に昨年12月に実施した「中小企業の国際事業展開に関する実態調査」結果(有効回答数697社)によると、国・地域別で、現在保有する最重要海外事業拠点は、「中国」を挙げる企業が54.9%と圧倒的に多く、以下、「米国」(10.9%)、「タイ」(9.6%)と続く。アジア全体でみた企業割合は87.2%にのぼり、アジアを最重要拠点と考える企業が多い。

 また、今後(3年程度)新規進出を予定・検討している拠点の第1位は、「中国」の比率が30.4%と高く、以下、「ベトナム」(21.4%)、「インド」(11.3%)、「タイ」(9.5%)の順。第1位に加え第2位、第3位を含めると「中国」(32.1%)が最多で変わりないが、「ベトナム」(28.0%)、「インド」(24.4%)での企業割合が大きく増加している。引き続き中国が海外事業拠点の中心ではあるが、ベトナム、インド等へ進出する動きがうかがわれる。

 海外事業展開の目的は、進出当時では「コスト削減」(36.5%)が最多だったが、現在から今後(3年後程度)にかけては、「現地市場の開拓・拡大」(40.4%→52.0%)が大幅に増加して第1位となるほか、「第三国への輸出」(9.3%→22.6%)も増加が目立つ。国内市場の成熟化・縮小が見込まれるなか、海外事業拠点は現地市場や第三国市場など海外市場拡大への対応拠点としての目的がより重視される見込みだ。

 海外事業拠点の主たる販売先は、「現地日系企業」(44.0%)、「日本への輸出」(33.0%)が多いが、今後は、「現地日系企業」(37.4%)、「日本への輸出」(23.1%)は減少が見込まれる一方で、「現地地場企業」(14.0%→20.3%)、「第三国への輸出」(2.8%→10.0%)が増加する見込み。主たる仕入先も、今後は「現地地場企業」(39.5%→51.5%)とする企業が5割程度を占め、販売・仕入とも現地地場企業との取引拡大を図る姿勢がうかがえる。

 海外事業拠点での販売活動に関する課題(複数回答)としては、「販路開拓」が59.1%で最多、以下、「販売価格が低い」(37.4%)、「代金回収」(36.2%)、「販売員(営業担当者)の確保」(26.3%)、「ニーズの把握」(23.4%)と続いている。進出地域別にみると、「中国」では「販路開拓」(63.6%)や「代金回収」(49.5%)を挙げる企業の比率が、その他アジアや北米に比べて高くなっている。

 同実態調査結果の詳細は↓
 http://www.shokochukin.co.jp/report/tokubetsu/pdf/cb10other05_01.pdf

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