2010年05月13日-4
08年度を大きく下回った保証協会の09年度実績

 東京商工リサーチがこのほど発表した2009年度全国信用保証協会実績状況(速報)によると、全国52信用保証協会の実績は、保証承諾件数・金額とも2008年度を大きく下回ったことが分かった。2009年度の保証承諾件数は前年度比15.8%減の112万72件、金額は19.8%減の15兆7258億8100万円だった。これは、前年度の2008年10月に緊急保証制度がスタートし、保証承諾件数・金額ともに急増した反動とみられている。

 2007年度比では、件数が2.3%増、金額も20.7%増と、ともに増加している。ちなみに、2008年10月31日にスタートした「緊急保証制度(現:景気対応緊急保証制度)」の2009年度(2010年3月25日速報値)の保証承諾件数は、約57万8000件、金額は9兆6000億円で、52保証協会の保証承諾件数(112万72件)の51.6%、金額(15兆7258億8100万円)の61.0%と、件数・金額ともに半数以上を占めている。

 また、2009年度の代位弁済件数は10万3673件で前年度を0.6%下回ったが、金額は前年度を6.1%上回る1兆988億1900万円となった。ただし、件数も、3月実績未公表(26保証協会分)を見込むと前年度(10万4313件)を上回っている可能性が高い。企業倒産が減少するなかで代位弁済が増えていることは、水面下で資金繰りに窮している企業が増えていることを示唆しているとも受け取れる。

 担保や資産背景の乏しい中小企業にとって、金融機関からの借入に伴う保証協会の保証の意義は大きい。しかし、「緊急保証制度」は、当初の利用期限だった今年3月末時点で、保証承諾額が保証枠30兆円に対し10兆円以上が未消化となった。取扱期限が2011年3月末まで1年延長され、保証枠も36兆円に増額されたが、今年1月以降の実績(3ヵ月平均約7000億円)を考えると保証枠を使いきれずに制度の終了を迎える可能性もある。

 東京商工リサーチは、この要因として、「業績不振から新たな借入を行っても返済が困難と考える企業側の手控えや、急激な景気悪化で売上減少から過剰債務など財務バランスを崩し審査で保証対象外となった企業の増加などが考えられる。さらに、借入より『中小企業金融円滑化法』に基づく返済条件変更などへのシフトも後押しした」と推測している。

 この件の詳細は↓
 http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/2010/1201928_1612.html

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