2010年05月13日-3
今後の業界再編理由、「市場の縮小」との企業が5割

 企業の収益環境の厳しさや個人消費の伸び悩みが続くなか、自動車業界の業務提携や飲食料品業界の経営統合が話題となるなど、多くの業界で再編が活発化している。帝国データバンクが実施した「業界再編に対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万772社)によると、今年3月までの1年間(2009年度)の業界再編(合併や事業譲渡、業務提携など)が「進展している」と認識している企業は、全体の5社に1社となった。

 これまでの業界再編の進展具合は、「進んだと思う」と回答した企業が3.3%、「やや進んだと思う」が17.5%と計20.8%となった。一方、業界再編が「全く進まなかったと思う」は21.3%で、「あまり進まなかったと思う」(39.0%)を合わせ「進展していない」と認識している企業は60.4%となった。「進展している」とした企業を業種別にみると、「小売」(37.8%)が4割近くに達し、次いで「金融」(35.8%)となった。

 自社が属する業界の今後の再編は、「急速に進むと思う」と回答した企業が5.5%、「緩やかに進むと思う」は39.5%となり、計4割超の企業が「進展する」と回答。これを業界別にみると、「金融」(64.2%)と「小売」(61.1%)が6割を超えているほか、「サービス」(52.3%)も半数を超えた。一方、「全く進まないと思う」は8.2%、「ほとんど進まないと思う」は26.8%と、計34.9%の企業が、今後業界再編は「進展しない」と回答している。

 現状の業界再編の理由(複数回答)については、「価格競争の激化」が51.6%、次いで「市場の縮小」が49.8%と、これらが3位以下を大きく引き離して二大理由となっている。特に、「価格競争の激化」は前回調査(2009年4月)から8.8ポイント増加し、前回の2位から1位へと上昇した。なかでも「小売」は59.3%に達し、低価格戦略が広がるなか、規模の経済性や収益力の強化を求める企業が業界再編を促している様子がうかがえる。

 また、今後の業界再編の理由(複数回答)としては、「市場の縮小」(49.3%)が約5割でトップ、次いで「価格競争の激化」(47.1%)、「収益性強化」(26.4%)が続き、前回調査と同様に3位までを占めた。しかし、「グローバル化への対応」(21.5%)が前回調査の10位から5位に上昇しており、今後は世界を視野に入れた業界再編がこれまで以上に重要性を増すとみている企業が増えている。

 同意識調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w1004.pdf

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