2010年05月06日-1
上場市場は「新JASDAQ」「東証マザーズ」に集中

 2009年の新規株式上場(IPO)数は、前年比30社減の19社にとどまった。これは、2000年以降もっとも少ない数であり、2年連続の100社割れだ。帝国データバンクが、株式上場の意向がある企業4473社を対象に2月に実施した「新規株式上場意向に関するアンケート調査」結果(有効回答数1621社)によると、回答企業のうち「IPOの意向がある」と回答した株式上場予備軍企業は、回答企業全体の約4割の631社だった。

 この631社の上場予定時期は、「2010年」が7社、「2011年」が29社」、「2012年」が49社、「2013年」が91社、「2014年」が50社などの結果となった。一方、上場予定時期を「未定」とする企業は287社を数え、株式上場予備軍企業の45.5%と約半数を占めた。2015年以降の上場を予定する企業の割合も11.3%と高く、株式市況や企業業績の回復には長時間を要するとみている企業が多いようだ。

 上場を目指す理由(複数回答)は、「知名度や信用度の向上」(74.5%)、「資金調達力の向上」(57.8%)、「人材の確保」(43.1%)の順。「従業員のモラルの向上」(23.1%)や「社内管理体制の強化」(23.9%)といった企業内部への効果よりも、対外的なイメージアップを期待する企業が多いことがうかがえる。また、「資金調達力の向上」を挙げる企業が過半数を占めたが、株価低迷の現状では、十分な資金調達ができない可能性が懸念される。

 上場予定市場(複数回答)では、大証ヘラクレスとJASDAQ、ジャスダックNEOの3市場が2010年10月を目途に統合して誕生予定の「新JASDAQ」(266社、42.2%)が最多、以下、「東証マザーズ」(245社、38.8%)、「東証2部」(47社、7.4%)と続く。市場統合により、新興市場の人気は新JASDAQと東証マザーズの2市場に集中した。2009年6月に開設された「東証TOKYO AIM」は13社(2.1%)とふるわなかった。

 IPO時に希望する株価水準(日経平均)については、「わからない」と回答した企業が232社(36.8%)でもっとも多く、「希望はない」とした企業が81社(12.8%)でそれに続いたが、具体的な株価水準では「1万5千円台」とした企業が80社(12.7%)で最多、次いで「1万2千円台」(30社、4.8%)、「1万3千円台」(27社、4.3%)など。株価は先行きの予想が難しいためか、答に窮する企業、具体的な希望を持たない企業が大半だった。

 同アンケート調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/k100402.pdf

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