2010年04月30日-1
09年度不適切な会計処理が発覚した上場企業16社

 上場企業では、2009年3月期より内部統制報告書の開示が義務付けられたほか、2010年3月期からは国際会計基準を任意適用できるようになるなど、会計制度が大きな変化を迎えている。しかしその一方で、不適切な会計処理や社員の不正行為の発覚も後を絶たない。帝国データバンクがこのほど発表した調査結果によると、2009年度に不適切な会計処理が発覚した上場企業は16社となった。

 2004年度以降に不適切な会計処理が発覚した企業の推移をみると、2004年度5社、2005年度6社、2006年度19社、2007年度20社、2008年度22社、2009年度16社となっており、2006年度以降の増加ぶりが目立つ。2009年度は、過去最高だった2008年度から6社減り、前年度までの増加傾向から一段落したが、依然として高水準で推移していることに変わりはない。

 2004年度以降の6年間で不適切な会計処理が発覚した上場企業は88社となるが、業種別にみると、「製造業」が27社と約3割を占めて最多、次いで「サービス業」が19社だった。2009年度も、「製造業」(7社)、「サービス業」(4社)の順に多い。上場市場別にみると、2004年度以降では88社中36社が「東証1部」で最多。2009年度も「東証1部」が7社で最多となる一方、「新興市場」も合計7社あった。

 2009年度の不適切な会計処理の内容で、もっとも多かったのは「売上・資産等の水増し」で13社、また、「子会社によるもの」が8社と2004年度以降で最多となり増加傾向にある。「循環取引」は2008年度に8社と過去最高となったが、2009年度は一転、1件もなかった。また、2009年度の不適切な会計処理発覚後の動向をみると、改善報告書を提出した企業が4社、課徴金納付命令を受けた企業は4社となった。

 なお、2004年度~2008年度にかけて不適切な会計処理が発覚した企業で「上場廃止」(合併や倒産含む)となったのは29社あったが、2009年度に上場廃止(合併や倒産含む)となった企業はなかった。

 同動向調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p100405.pdf

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